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シオンの乗馬②
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暫く馬に揺られていると目の前の光景に、イライラする。
俺を乗せている馬が、手綱を持つハミドの脇にしなだれかかり、あやしながら進む。
ハミドは馬が暴れると俺の身が危ないと思ってか、好き勝手させている。
つい馬に、伝わらないと思って‥俺、お前が嫌いかも。頼んでまで乗りたくねーわ。と、心の中で悪態をついた。
すると、馬はピタッと止まりしなだれかかっていた背筋を伸ばすと、そこからいきなり‥
頭をガンガン上下に振り出した。
まるで「へえ〜そりゃあ、奇遇だね!俺もお前に降りて貰いたいと思ってたからなー!」
とでも言わんばかりに。
「うわっ!!」怖くて、たてがみにしがみつくと、ハミドが「どーどーどー!どうした、お前。どーどー!」と、慌てて首を掴んで宥めた。「ハミド、俺、降りたい。」
泣き言を言って、ハミドに手伝っておろして貰う。
降りる時も怖くないよう、支えてくれた。
「シオン、気にするな。もしかしてこいつは走らせて貰ってないのかも知れない。馬はストレスが溜まり易いから。少しだけ、こいつに付き合ってもいいか?」俺が頷くと、ハミドは左足を馬具に引っ掛けひらりと乗り上がり、その足にかけた馬具を両方よっと馬の腹一杯まで引き上げると、ハミドの座高は背中の鞍よりも高く殆ど馬上で爪先だけで立つ姿勢になった。座るのではなく 中腰で、頭、お尻、足と、身体で綺麗な逆3角を作ると、馬の表情も変わり、別な馬になったみたいにシャキッとした。「ほら、好きに走れ」
ハミドが手綱を短く握り込み、ひゅっと首筋を叩くと、ものすごい速さであっと言う間に走って行った。好きなように走っているようでも、ハミドが誘導している。重心は全くブレずに逆3角が馬の背中に乗って横にスス〜っと移動しているだけ。きっとあの態勢は馬も走り易いんだろう。気持ち良さげに走っていた。
暫く走って、クールダウンさせると、ひらりと飛び降り、また俺の乗れる長さに馬具を調整すると、「シオン。これでもう大丈夫なハズだ」と声を掛けられた。ハミドは汗一つ掻いていない。
恐る恐る近付くと、馬の目に剣呑な光が宿っている。やっぱり、お前はハミドの前だけしか良い子じゃないのな。馬は耳をうさぎのように器用に倒し、如何にも俺は不機嫌です、他当たってくれという態度だ。
気まずい態度を察したハミドは、馬に向き直るとあれ程怒鳴ってはいけないと言っていたのに、馬の目に顔を近付け、自ら声を荒げた。
「言っただろう、シオンに背中を貸してやれと。」
馬は後ろに下がろうとするが、ハミドはそれを許さず手綱をガッチリ掴んでいる。
ハミドより大きな筈の馬が、身体を震わせて怯えているように見えた。
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