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ハミドの誤算②
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side ハミド
結果は2着だったが、配当は15倍。7万以上を手にする。
残りも配当の良い馬券を当てて元手を引いても10Rが終わる頃には手持ちは全部で400万に増えた。
『少ないが、今日の所はこれでいいな。さて、あいつに生活費を渡して家事代行者でも探し、このバカバカしい賭けもとっとと終わらせるぞ。』
『お待ちください、殿下。もしやこれで生活出来てるとお思いですか…?』
『何か問題でもあるのか。』
『大アリですよ!なんですか、この生活能力の無さは。』
『俺が家事洗濯しながら、貧乏料理をにらめっこするカツカツの生活姿などみたいのか、カリフ。』
『全く想像がつきません。』
『だろう。俺もだ、こんなバカバカしい賭けにまともに付き合ってなど要られん。必要経費が日本ではバカ高く配当から胴元に二割も持って行かれるから馬券は出来ればやりたくなかったのだが、背に腹は変えられん。おお、明日はモーターボートもあるのだな。』
ボート用の新聞を買おうとすると、カリフに手で制された。
『やはり、これは良くありませんよ、殿下。このお金は無かった事に致しましょう。』
『カリフ?』
『元々、私が買ってる事になっている分、この馬券で増えたものはあなたのお金ではありませんし、やはり趣旨を考えると、この方法で元通りの生活をなさるのは合点が行きません。』
険しい顔をしている。
『そうはいっても、お前達の前でそんな貧乏ごっこでもしろと?惨めな気持ちにならないか、主がそれでは。』
『今のほうが惨めな気持ちになります。それに、シオンもこんな方法と知ったらがっかりするのではないですか?』
むっと、声が詰まる。
それを見てカリフも少し笑う。
『何事も良い経験になりますよ、殿下。彼と暫く暮らして、庶民感覚を磨かれてみては如何でしょうか。』
何だか俺は一番信頼している者に死刑宣告を受けた気分だった。
この金で家事代行を頼み、元と変わらぬ生活をする方法は、断たれた。
途方にくれたが、次はどうするかと必死に頭を使うのだった。
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