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〜貧乏生活その②〜 シオンのアドバイス
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「多分、ヘロヘロにくたばっているだろうから、見に行って追い打ちかけるように足蹴にして、何なら踏んできてもいいよ。」
カリフさんが楽しげに言ってるから、心配ないんだろうと遊びに来たけど…本当にここに住んでるのか。
ドハが言った通りの、外観だった。
あのハミドが住めるのかってくらい、ボロボロのアパートだ。
ピンポーンてするような、呼び鈴も無くて、玄関ドアをドンドンってノックすると、勝手に入れとハミドの声がした。
中に入ると、鍵もトイレのような仕掛けで、引き戸を閉めると針金のようなところに、引き戸についた留金をかけるだけだ。
セキュリティとか、どうなってるんだろう…。
恐る恐る、部屋の中に入ると、ハミドは本と将棋の盤駒を出して、本を見ながら将棋の駒を、進めている。
一人で将棋?
そんなの、出来るんだ。
俺の顔を見て、あぁこれかと本を見せる。
「棋譜(キフ)と、言うものらしい。上手な打ち手が指した手が、初手から最終手まで書いてある。
指したのは、江戸時代の家元だそうだ。詰め将棋という簡単な問題もあったので、この生活をするにあたってカリフにとある筋から買って貰ったのだ。」
とある筋が気になるが、江戸時代のって何なんだよ。
パチリと小気味良い、駒を打つ音が聞こえて来て、六畳一間が、風流な空間になっている。
「ハミド、結構快適そうだな。」
俺が言うと何処かだっ!とキレ気味に食って掛かられた。
「何だか知らんが、食費は一週間で予算が決まっているから、材料バンバン買うなとか、さつまいもが安いからと昨夜はカレーにさつまいもだぞっ!いくら食事にこだわりがない俺と言えど、文句の一つも言いたくなる。洗濯物は全て一緒にアイツの物と洗わないといけないと言うし、本当に綺麗になっているのかも甚だ疑問だ。そして、一番耐えられないのは、風呂だ。」
あー、やな予感がする。
家事、以前の問題かも知れない。
「風呂が、狭くてとても汚い。シャワーも無いし、おまけに一日一度までだ。」
問題の風呂場を見に行くと、蛇口を捻ってお湯と水を調節するタイプだった。追い焚きは出来なくて、ハミドの身体だと腰までしか浸かれない。
ちょっと可哀想な気もしたけど、身体を洗うシャンプーやボディウォッシュはいつもので、これはカリフさんが相当フォローしてあげてるんだなって、愛情を感じた。
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