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6 (彰)
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昔から今まで、
俺には譲れないものがある。
===彰side===
そいつとは、いつから一緒にいるかわからないくらい、昔から一緒にいた。
周りのやつが、そいつの見た目の美しさにたかるようになるよりずっと前から、
俺はそいつだけを見ていて。
他には何もいらなかった。
いや、もとより、
他は何も映っていなかった。
それなのに、俺は何を間違えたのか。
…そんなことは、初めからわかっている。
わかっていて、やめられなかった。
あの、俺を映す恨みさえ滲みでるような熱い視線は、
いつも俺をゾクゾクさせた。
『もっともっと、俺のことを考えろ、
俺でいっぱいになって、溺れ死んでしまうくらいに、
俺のことを、考えろ。』
そんなことで頭がいっぱいで、俺は、あいつが離れていくのに気付くことができなかった。
後悔?
そんな生温いもんじゃない。
あの時の俺を、殺してしまいたいくらいだ。
あいつは、昔から人間関係を築くのが苦手な奴だった。
俺みたいに、適当に上手く世の中を渡っていけばいいというのに、
小さい頃から、彼はいつだって真っ直ぐで、真っ直ぐすぎて、それが周りに理解されなくて。
とても、不器用な奴だった。
そこがとても魅力的で、愛しかった。
俺にはないものを持つ彼に、惹かれたのだと思う。
中学にあがると、あいつは更に綺麗になった。
彼の本質を何も見ないで、容姿ばかりを見る奴がたくさんいて、俺は悔しかった。
同時に、嬉しかった。
本当のあいつを知っているのは、この俺だけ。
―誰にも、渡したくない。
そんな気持ちが強くなり、抑えきれないほどに膨らんで。
中学生のガキが、いっちょまえに自分の狂気に恐怖を感じて、
『このままでは彼を傷つけてしまう』
それは絶対に避けなければいけないことだったから、
俺は彼にはわからないよう、出来るだけ関わる時間を減らしていったんだ。
すぐにバレてしまったけれど。
『ねぇあきら、俺何かした?』
わざわざ俺の家まで来て、そう言いながら泣くあいつを見て、自分が満たされるのを感じた。
『なんでもするから、ねぇ、嫌いにならないで…』
あきらがいなくちゃ、俺何も出来ないんだ。とグズグズ泣く幼馴染。
あぁ、誰よりも、俺はお前を愛してる。
俺は彼を、思いっきり抱きしめた。
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