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頭の中を満たすのは園田彰のことで。
(違う、んだな。)
こびりついて離れない数々の、アイツの記憶…
それとは違う"園田彰"に、
戸惑いを感じるのは馬鹿らしいって、わかってはいるのだけれど。
…やめられなかった。
いつだってみんなから好かれていて、
人気者で、周りにはいつも人が集まっていて。
"人間関係なんて。"と言いながらも、
近寄る人間を惹きつけ続けた、過去の、…。
-昔と違うのは、"僕"だけじゃないんだ。
この1年で変わってしまった。
…じゃあ、変えてしまったのは…、
何?
…そんなこと、考えたって仕方ないのに、
時間は戻らないし、
戻って欲しいわけでもないのに、
どうして、忘れることができないんだろう。
こうやって一人感傷に浸る自分が、
鬱陶しくて、死ぬほど厭なのに、
どうして。
でも、それも仕方のないことなのかもしれない。
だって、
だって、ずっと一緒に居たんだ。
10年以上一緒にいて、それが当たり前で、
幸せで、
幸せで、
これからも、ずっとそうだって、
信じて疑いもしてなくて。
急に突き放された、中学生のあのとき。
きらきらとしていた世界は簡単に光を失った。
そのときに気付いた、世界に色を付けている存在に手を伸ばして、
縋りついて、抱きしめてもらって。
腕の中で聞いた"愛してる"が、一番の宝物で。
この1年間は、
長くて長くて仕方なかった。
何が正しくて何が間違っているのか、
自分がどうすべきなのか、
わからないことだらけだった。
自分が進んでいるのが本当に"前"なのか、
がむしゃらに向かっている先は本当は"後ろ"なんじゃないか、
不安で、不安で、
ひたすら、不安で。
それでも、自分の"前"に進むしかなかった、
そして今、
僕は、ここにいる。
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