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「あいつ…?」
聞いて、即座に後悔した。
学園の知り合いなんて、一人しかいない。
「カケルだよ、カケル。
俺の兄貴。」
「お兄さん…」
「イイね、その"お兄さん"ての。」
「…?」
「こっちの話。
理事長わかるだろ?ここの。園田翔。」
「あぁ…」
墓穴を掘らないように頭を必死に回転させる。
一般の生徒はどこまで知っている?
理事長と園田彰が兄弟であることは周知の事実だったか?
…園田家の人間なのだから、親戚であることはみんな知っているのだろうけど。
「アイツ、親衛隊のことなんて教えてくれなかった。」
「…そうなんですか。」
あれ、なんだろう。この違和感。
「兄弟、仲がいいんですね。」
「…普通だよ、普通。
現に、入学前に親衛隊のこと教えてくれなかったし。」
ぜってえワザとだ。と園田彰。
ちょっと、ちょっと待って。
そういえば翔兄は、今どうしてるんだ…?
園田彰の口ぶりだと、翔兄は彼の入学を知っていた。
理事長なんだから、家族なんだから当たり前のことだけど、
でも。
翔兄はどうして、僕に何も言ってくれないんだろう…?
ここに居場所をくれたのは、彼。
僕を逃がしてくれたのは、彼。
その翔兄が、どうして弟の入学を教えてくれないんだ…?
そういえば一ヶ月前、あの、始業式のとき、
彼はあの場にいたっけ…?
…思い出せない。
始業式のとき、壇上で話していたのだろうか…
適当な態度で始業式に臨んでいたことを軽く後悔した。
翔兄は忙しいひとだから、特別な行事であっても来られないことがある。
だから別に、始業式にいなくたっておかしくはない。
というか逆に、いなかった方がこちらは助かる。
あんなところ、翔兄に見られたくない。
でもどちらにせよ、翔兄は園田彰の転入を教えてはくれなかった。
隠していたのか、
伝えるのを忘れていたのか、
伝える必要はないと思ったのか。
どれにしたって、さみしすぎる。
さみしすぎるよ、翔兄。
そういえば今年度になってから、翔兄から連絡がきていない。
…彼は、何を考えているのだろう。
わからない…。
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