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どこか遠くで、声が聞こえる。
『--き』、
僕を、呼んでいる…?
『ゆき』、
あぁ、呼ばないで。
まだ僕は、目を覚ましたくない。
全てを直視する勇気がない。
だからお願い、
呼ばないで。
==雪side==
夢を、見ている気がする。
長い、長い夢。
相変わらず眠りは浅くて、ふわふわと思考が安定しない。
今、何時だろう…?
そろそろ起きなきゃ、蘭にまた怒られちゃうかなあ…
でも仕方ない、昔から寝起きが悪いんだ、今更直らないよ。
実家にいるときは、いつも母さんにたたき起こされてたな、
二人暮らしのときは、朝ごはんを作るために早起きを始めて、
いつの間にか習慣になっていて。
…結局、1年くらいで終わったけれど。
あぁ、なんだか哀しい。
哀しくて、哀しくて、哀しい。
なんでだろ、
なんでこんなに泣きたいんだろ、
僕はしあわせだよ、
それなのにまだ、
「" "」
埋まらない、なんて。
ポタリ、空から雫。
あれ、雨でも降っているのかな。
ポタリ、ポタリ、
雨ってこんなに温かかったっけ。
手も、なんだかあったかい。
この感触、好きだ。安心、する。
だけど、
不安に、なる
だけど、
懐かしい、気もする。
ずっと、包まれていたい。
このままでいたい。
目を閉じたまま、
温もりを感じていたい。
…あ、
消えた。
目元に狂おしいほどの熱。
一瞬だけ、大好きな匂い。
耳元には、認識できない囁き。
遠ざかる、存在。
待って、行かないで、僕は一人じゃ無理だ。
このあたたかさをしってしまったぼくにはもうむりなんだ。
…あぁ、
あぁ、
何を言っている。
いつも逃げているのは他でもない、
僕自身じゃないか。
_
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