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何となく眠れなくて、ベッドの中でごそごそしていたら足音が聞こえた
「ひっ!」
でも、この足音は・・・・・
足音が通り過ぎるのを待って、そっとドアを開けた
やはり翔だ
でも、こんな時間にどこへ?
気になって後をつけて隠れた
ハイジャン?
えっ・・・・もしかして一人で練習?
翔は努力家なんだな・・・・・
「えっ?」
初めて見るフォームだった
何だろう
すごく綺麗で思わず声を出してしまいそうになった
でも・・・・・
翔がそのまま動かない
もしかして怪我を?
どうしよう、でもっ・・・・・
「誰だ?」
「あっ・・・・・ごめん」
「燕羽・・・・お前いつから」
「ごめんね、こんな時間だし気になって・・・・」
「いつからいたと聞いているんだ」
「・・・・・・・・・・・・ずっと」
「なっ!」
「動かなくなったから心配で・・・・・」
「跳べ」
「えっ?」
「いいからそのバーを跳んでみろ」
「わかった」
この高さなら跳べるね
よし・・・・あっ、そう言えばさっきのフォームすごく綺麗だった
確か、そうそう!こんな感じだ!
「えっ・・・・嘘」
初めての感覚
すごく跳べた気がした
「見た?翔と同じフォームで跳んだらさすごく跳べたよ」
だから褒められると思っていた
でも・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・馬鹿野郎」
「えっ?」
「二度とそんな跳び方をするんじゃない」
「でも」
「絶対にだ!」
「どうして?だって、俺」
「言われた通りに出来ないのなら大会には出れないぞ」
「どうしてさ?」
「出る前にお前が潰れるからだ」
「意味わかんない!」
「約束しろ、二度とそのフォームで跳ぶんじゃない」
「・・・・・・・・・・・・・・わかったよ」
「約束だ」
「うん」
こんな表情の翔をはじめて見た
すごく冷たい瞳
いつもの翔じゃないみたい
「俺は戻るからお前ももう寝ろ」
「わかった」
翔は全く笑わないままその場を離れて行った
「何か怒らせるような事したかな・・・・確かに後をつけたのは悪かったと思うけど・・・・う~ん」
月の光で反射しているバーを見つめ、もう一度だけなら・・・・と軽い気持ちで同じように跳んでしまった
と言うか、翔の跳んだ姿がどうしても目に焼きついて忘れられない
「やっぱり全然違うし余裕もあるじゃん・・・・もう少しだけ」
バーの高さを上げて、夢中で跳び続けた
「はぁ・・・・・・足が痛い、もう止めないとね」
しっかり体が温まっていないまま跳んだからかな
少し足を引きずりながら、部屋に戻り目を閉じた
次の日・・・・・
少しだけドキドキしながらリビングに向かうと翔がいた
「おはよ・・・・あの、昨日は」
「遅刻するぞ!お前朝食抜きな」
「えっ、やだ」
「行くぞ」
「ちょ!待ってよ~」
あれ?
いつもと同じだ
もしかして夢?
いやいや、そんな事は無い
だってまだ足が少し痛いし
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いっ!」
と言うか、すごく痛い
どうして?
「お前・・・・まさか」
「ご、ごめんなさい!どうしても跳びたくて・・・・でも、平気だから」
「お前には約束の意味がわからなかったみたいだな」
「ホントにごめん、だから怒らないで・・・・・おねが・・・い・・・ごめんなさ・・・ううっ・・・・・」
「和海、燕羽を病院へ」
「はい」
「・・・・グスッ・・・・・・怪我はしてない」
「お前の足はもうボロボロだ」
「嘘だよ・・・・・・」
「痛いだろ?」
「痛くないもん!」
「特に、この辺」
「いたっ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・早く行け」
どうしてわかるの?
少し押されただけなのにすごく痛かった
「燕羽、行きますよ」
「でも」
「翔は今、とても怒っています」
「どうしよう・・・・俺」
「普通の喧嘩では滅多に怒ったりしない人ですし、あのように冷たい表情はしませんよ・・・・昨日何をしたのですか?」
「何って・・・・・深夜翔が廊下を歩いてて、気になったから後をつけて行ったら、すごく綺麗なフォームでバーを」
「・・・・・・・・・・・真似をしたのですか?」
「うん・・・・でも、もっと練習すれば俺」
「そのフォームのまま続けるつもりなら、翔は消えますよ」
「どう言う事?」
「真似するなと言われませんでしたか?」
「・・・・・・・・・・・・・・言われた」
「なのに貴方は跳んだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
どうしよう
よくわからないけどすごく顔が怖いよ
そんなにいけない事をしたのかな・・・・わからないよ
「あのさ・・・・・泣かせてどうするの?」
「楓には関係ありません」
「そうだけど、意味もわからないまま責めるのはどうなの?」
「俺が・・・・悪いんだ、約束を・・・・ううっ・・・・」
「俺が連れて行くよ」
「楓が?」
「病院に連絡しておいてくれればいい・・・・・行こう燕羽」
「・・・・・・・・・・・・はい」
「病院までの地図はナビに」
「オッケー、掴まって」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
体を支えてもらいながら玄関を出た
「同じ過ちを犯さなければいいだけでしょ?」
「でも」
「まだ間に合うはずだよ」
そのまま車に乗り、ずっと俯いていた
悲しくて泣きそう
「俺の話をしようか」
「えっ?」
「軽く聞き流せばいいよ」
「はい」
「俺の職業を知ってる?」
「はい、とても有名なギタリスト」
「そんな俺に憧れた一人の青年の話」
「・・・・・・・・・・・・・・・・はい」
楓さんは少しだけ悲しそうな表情をしながら俺に話を聞かせてくれたんだ
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