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綺麗なカプセルを持って自分のベッドに戻った
まだ何が起きたのかがよくわからないけど、何となく思い出した
でも、そんな事は今更どうでもいいね
「お前、大丈夫か?」
「何が?」
「・・・・・・・いや」
声をかけて来たのは氷龍だった
燕羽はもう眠っているみたい
「もう寝るよ」
「ああ」
体調はとてもいい
こんなに体が軽いと感じたのは初めてだった
それに、寒さを感じない
部屋は適温だった
暖房があるわけではないのに不思議
もしかしてこの事かな
今まで眠いと感じた事もなかったのに、今はすごく眠い
疲れているわけではないのにね
ベッドに入り、目を閉じると吸い込まれるようにして眠りに落ちて行った
眠る楽しさを初めて知ったような気がした
次の日の朝、目覚めて考えた
俺は夢を?
自分が死ぬ夢を見たのかな・・・・・
さりげなくポケットの中に手を入れると、カプセルが入っていた
・・・・・・・・・夢ではなかったみたい
「楓、おはよー!」
「おはよう」
「今日は食べれそう?」
「うん」
「よかった、じゃ行こう」
「そうだね」
翔は何も言わない
視線も合わせない
そして・・・・・・
「楓!」
「・・・・・・・・・・・所長、何か?」
繭の表情がいつもと違うように見えた
名前で呼ぶなんてどうしたんだろう
「いえ、体調は?」
「すごくいいですけど」
「・・・・・・・・・・・そうですか、では」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
繭は複雑な表情をしながらそのまますれ違い、俺達は食堂に向かった
「今日は美味しそうだよ」
「うん」
セルフなので用意されている食事を持ってテーブルに置いた
「俺、スープ持って来るね」
「ありがとう」
確かに、食堂のメニューはかなり改善されていた
今は、温かいものは温かい状態で出てくる
こんな場所にいたら、楽しみは食事ぐらいだしね
「お待たせー!」
「食べようか」
「うんうん!いただきます」
美味しそうにスープを飲む燕羽を見つめ、口の中にマッシュポテトを入れた
「あれ?」
「ん、どうしたの?」
「味を付け忘れたのかな」
「それ?」
「うん」
「そう?俺のは味がついてるけど・・・・一口いい?」
「うん」
燕羽は俺のマッシュポテトを少し食べて言った
「同じだよ?ちゃんと味はついてる」
「そう・・・・・」
「まだ体調がよくないんじゃないの?平気?」
「うん、ごめんね」
「ううん」
おかしいな
今度はスープを一口飲んでみた
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
同じだ
何の味もしない
念の為に他の料理も食べてみたけど、同じだった
無味・・・・・・・
これも翔が言っていた事なのかな
味覚を失ったと言う事か
別にいいけど・・・・・・翔達はどうなんだろう
俺だけなのかな
そのまま無味の食事を終えて、部屋に戻ると翔はパンケーキを食べていた
生クリームの乗った甘そうなパンケーキ
フルーツもたくさん乗っていた
和海はその隣で紅茶を入れていた
本当に、この二人だけ優雅だね
そう言えば・・・・空腹を感じない
今食べたからではなく、食べる前から感じなかった
「楓?」
「うん」
「本当に大丈夫?」
「うん、平気」
「そか」
「でも、人間って厄介だよね」
「ん?」
「命は限られているし、病気にもなる」
「そうだね」
「でも、仕方ない事なんだけどね」
「・・・・・・・・・・楓はさ」
「うん」
「不老不死とかどう思ってる?」
「どうって?」
「もし、不老不死の薬があったら欲しいと思う?」
「・・・・・燕羽は欲しいの?」
「俺もわからないけど、興味はあるかな」
「そうなんだ」
「うん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「楓?」
「燕羽は友達?」
「もちろんだよ」
そう言って笑う燕羽
「じゃ・・・・内緒で教えてあげる」
「何を?」
「誰にも言わないと約束出来る?」
「約束するよ」
「本当に?」
「うんうんっ!」
「もし約束を破ったら?」
「俺は楓に嘘なんか言った事はないよ、命に誓ってね」
「そう・・・・」
「もし俺が楓に嘘をついたら殺してもいいよ」
殺してもいいなんて軽く言うんだね
「来て」
「うん」
燕羽を自分のベッドに呼び、ポケットからカプセルを取り出した
すごく綺麗なカプセル
そのキラキラしたカプセルを燕羽に見せながら小さな声で言った
「実はね、俺はスパイなんだ」
「えっ?」
「この薬をずっと狙っていた」
「・・・・・・・・・・・それは?」
「不老不死の薬」
「えっ?でも誰から?」
「それは言わない約束をしたから」
「そうなんだ」
「信じられる?この薬は無限の金を生み出す薬なんだよ」
「うん・・・・・・そっか・・・・やはり楓も狙っていたんだね」
「ん?」
「この薬をだよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
薬を奪い取り、燕羽が笑いながら言った
「実は俺もずっと探していたんだ・・・・・ここにある事まではわかっていたし楓がスパイだと言う事も知っていたんだ」
「燕羽・・・・・」
「仲良くなればいい事があるかなーってね・・・・ここは最低の場所だったけどこれで俺は自由になれるし多額のお金も入る」
「友達ごっこをする歳でもないでしょ?」
「でも、こうして薬は俺の手の中にある」
「ずっと騙していたの?」
「結果的にはそうなるけど、気付かない楓もどうかと思うよ?」
「そうかもね」
「まさかこんなに早く手に入るなんて、さすが楓だね」
本当の燕羽はただの嘘つきな男だった
「本当にお前は犬だったんだね」
「は?何の話だよ」
「それに、自分からスパイだと言うようなまぬけはいないよ」
「ぐっ!!」
目の前に立っていた燕羽の首を持ち、そのまま力を入れた
細い首は簡単に折れてしまった
床に落ちたカプセルを拾い上げ窓から投げ捨て、まだ温かい燕羽の死体を抱き上げて氷龍のベッドの上に寝かせた
「嘘をついたら殺してもいいと言ったよね?」
クスッと笑い、毛布を被せ翔を見つめた
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