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疲れた・・・・
最近余り眠れないし眠る暇もない
「次はラジオだから移動中車で仮眠を」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「その後、映画の関係者と打ち合わせだから」
「あのさ」
「どうした?」
「俺はこんな事をする為に海外に行ったのかな」
「どちらにせよ、楓はもうスターだろ?才能をいち早く見つけ出したのは俺だ」
「才能ね・・・・余計な仕事が多すぎると思うんだけど」
「そんな事はないぞ!CM依頼も来ているし、これからはどんどん顔を出していこう」
「嫌だね」
その才能も今では無駄に使われすぎているし、顔を出すとか冗談じゃない
マスコミが一番苦手なのに
「みんなお前を使いたがっているんだ、仕事も選び放題だし金も入り放題だ」
「そんなのはどうでもいい」
「おいおい、もっとやる気を出してくれよ」
「海外でデビューさせてすぐに帰国とかありえないし・・・・・」
「はくが付くだろ?」
「バンドのメンバーはどうしてるの?」
「とっくに解散だ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「俺、ソロじゃなくてバンドが組みたいんだけど」
「馬鹿を言うな!」
「話が違うね」
「今更だろ、とにかくお前は言われた仕事だけをやればいいんだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
下らない
毎日の仕事が下らない
ギターを弾いていてもつまらない
俺が何の為に海外に行ったと思っているんだろう
全ては・・・・・繭を忘れる為なのに
どうして突然消えたの?
あんなに幸せだったのに・・・・どうして
「もうしばらくは恋愛は控えてくれよ、遊びたいのなら俺が用意するから」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あの子は素直に出て行ったけど、しつこい奴もいるだろうしな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・どう言う事?」
何故こいつが知っているんだ?
「もう時効だから話すけど、俺が彼に話をしたんだよ」
「話?」
「ああ、楓は海外でデビューが決まっているからマスコミに嗅ぎつけられる前に消えろってね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「しかし、あんな子供なんか住まわせてどうしたんだ?家出でもしたのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「とにかく、遊びだったんだろ?彼もすぐに消えてくれたしな」
「・・・・・・・・・・・・けるな」
「何だ?」
「ふざけるな!」
「楓?」
「おかしいとは思っていた・・・・繭が突然消えた事にずっと疑問を抱いていたんだ」
「どうしたんだ」
「あんたが繭を・・・・・そして俺を騙した」
「おいおい、人聞きの悪い事を言うな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「まぁ、今更だろ?」
「今更?そんな言葉で済ませようとするおまえに吐き気がする・・・・・」
「おい!楓!!」
「もううんざりだ!次の獲物でも捜せ」
「何を言って・・・・戻れ!」
繭は俺が嫌いになったわけじゃなかったんだ
俺の為に出て行ったんだ
くそっ!
どうして信じてやれなかったんだろう
海外なんか行かずに捜せばよかったんだ
車を飛び降りて、そのまま人混みに中に紛れた
街中、俺の曲が耳障りなほど聞こえて来る
もううんざりだ
金も名誉もいらない
俺が欲しいのは一つだけ
「・・・・・・・・・・・・繭」
視線が気になり、帽子を深くかぶりただ歩いた
繭はどんな気持ちで家を出て行ったんだろう
きっと俺を憎んでいるんだろうな
傷付く事しか知らない繭を幸せにしたいと思っていたのにね
俺がとどめを刺して傷をえぐったようなものなんだ
気が付けば駅前に来ていた
ここでも耳障りな曲が流れていた
「大きなりんご・・・・・」
すぐに目に入ったのはりんごの看板
そう言えば、繭もりんごが好きだった
そのまま看板から視線を落とし・・・・・・目を疑った
そこにはずっと捜していた繭が同じようにりんごを見つめていたから
「繭?」
まさかね・・・・・でも
そっと近付き、思わず抱きしめた
「えっ?」
「繭、ごめん・・・・ホントにごめん」
小さな体を抱きしめながら、顔を埋めた
「・・・・・・・・・・・・・・・楓、どうして?」
「何も知らなかった・・・・繭が酷い事を言われた事も・・・・」
「いいんです、僕がいてはいけない場所だったから」
「そうじゃない!繭がいなければ俺は・・・・・何も出来ない」
「出来ているじゃないですか」
「違う・・・・そうじゃない・・・・・繭」
「成功おめでとうございます・・・・・」
「嬉しくない」
「えっ?」
「あのマネージャーはクビにした・・・そんな事で許してもらえないけど、どんな償いでもするからもう一度俺にチャンスを・・・・お願いだから戻って来て欲しい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・僕は感謝しているんですよ」
「俺は毎日繭の事を考えていたんだ・・・・・忘れた日などない」
「どうしてですか?」
「・・・・・・・・・・・・繭が好きだからに決まってるでしょ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「もっと早く気持ちを伝えておけばよかったと後悔したよ」
「・・・・・・・・・・・・・僕は」
「もう俺の事が嫌い?顔も見たくない?もし繭が傷付くのならこのまま消えるよ」
「僕も・・・・・ずっと会いたかった」
「えっ?」
「もう会えないかと思い込んでいたから」
「繭」
「すごく嬉しい・・・・・です」
「よかった」
「繭に何をしている」
「えっ?」
「離れろ」
「翔、違う・・・・彼が楓」
「へっ?」
「はじめまして」
「えっと・・・・どう言う事?」
「僕にもわからない」
「とにかく話がしたいから移動しない?」
「うん」
「・・・・・・・・・・・わかった」
そして二人を家に連れて来た
引越ししてまだ片付けていない部屋だけど外よりはいいと思ったから
「すごい・・・・」
「ごめんね、適当に座って」
「じゃ、話を聞かせて?貴方が繭を泣かせたの?」
「結果的にはそうなるね・・・・言い訳はしたくないけど」
「一応言い訳を聞くよ」
「うん」
そして俺は二人に今までの話をした
驚いたのはこの二人が兄弟だと言う事
繭が憎んでいた兄らしいけど、どうやら和解したみたいだ
「話は大体わかった・・・・・・」
「そう」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「繭、お前はどうしたい?」
「えっ?」
「戻りたいのなら止めないけど」
「僕は・・・・・・・」
「その前に、貴方繭を本当に幸せにしてくれる?」
「勿論」
「繭、聞いただろ?お前が決めろ」
この翔と言う兄も相当苦労していると感じた
そしてとても弟思いの兄
「僕は・・・迷惑でなければ楓と居たい」
「わかった」
「繭・・・・ありがとう」
「でも、離れて暮らしていても俺達は兄弟だからな」
「うん」
「遊びにも付き合えよ」
「うん」
「遊びにも来いよ」
「うん」
「・・・・・・・・・・・幸せになれよ、絶対に」
「うんっ!」
「幻月には俺から話しておくから」
「今度改めて挨拶に行くよ」
「わかった・・・・・・じゃ、繭」
「うん、ありがとう翔」
「お前が笑顔になれればそれでいい」
「うん」
「・・・・・・・・・・・・繭をよろしくお願いします」
「わかった」
こうして翔が一人で帰り、繭はそのまま残った
嘘みたいだ・・・・・・
「繭・・・・・」
「部屋を片付けますから動かないで下さい」
「・・・・・・・・・・えっ」
「楓が動くと余計に散らかりますので」
「わかった」
再会の感動はもう終わり?
繭はそのまま部屋を片付けだしてしまった
でも・・・・・こんな風景を俺はずっと思い描いていたんだ
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