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私の事
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廃ビルから声が聞こえると言われ仕方なくやって来た
ここは売りに出すつもりだが、幽霊の噂なんてつけられたら困る
埃臭い廊下を歩き、とりあえず調べる事にした
「何も聞こえな・・・・・えっ?」
聞こえる
微かに聞こえる
すすり泣くような弱々しい声
まさか本当に幽霊が?
その途切れ途切れの声を聞きながら、一番奥までやって来た
「倉庫か・・・・・」
ねずみは苦手だ
ついでに虫も
気が重い
さび付いた扉を開けて、耳を済ませた
「・・・・・ううっ・・・・・っ・・」
聞こえた
ポケットからライターを取り出し、火をつけて部屋の中を見渡した
「えっ?」
誰かいる
そしてこの匂いは
「大丈夫ですか?しっか・・・・・足が」
「・・・・・ころ・・・して・・・・・おねが・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そのまま弱った体を抱き上げて病院に向かった
発見が遅かったので、体はかなり衰弱していた
しかし、それよりも問題なのは
「足は切断しなければいけません」
「切断・・・ですか」
「細胞が壊死していますので早急に手術を行う必要があります」
「・・・・・・・・・・まだ若いのに可哀相ですね」
「彼は何かの選手でしょうか?」
「えっ?」
「着ているものからそう思ったのですが」
「確かに・・・・」
血だらけでそこまで気付かなかったが、確かに上に着ているものはユニフォームにも見えた
「どうしましか?」
「お願いします」
「わかりました」
こんな大切な事を俺が決めてしまってもいいのか?
しかし時間が無かった
責められるのならそれでもいいと思った
そしてそのまま彼は足を失った
着ている服から学校を割り出し、何とか家の電話番号を探し出す事が出来た
そして電話をかけて驚愕した
電話に出たのは母親と名乗る女だった
しかも、喘ぎ声付だ
まだ夕方だぞ
息子が危険な状態なのに、心配すらしない
何を考えているんだ
不愉快になり、そのまま電話を切ろうとしたら
(翔の入院費は払えないんだけど)
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
(面倒だったらその辺に捨てておいて)
(私が引き取ります)
(そう、助かったわ)
ありえない
なんだこの親は
捨てておけだと?
ふざけるな!
イライラしながら携帯をしまい、病室に向かった
「・・・・・・・・・・・・・・天使」
白いカーテンが揺れる部屋
夕陽が髪を金色に染めていた
眠る姿は天使そのもの
そして俺は一目で恋に落ちた
名前も知らない男の子にね
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