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【恋人にリンゴを/晴悟】RAINY DAY
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だんっと悟の手が窓を叩いた。少し汗ばむそれは、窓にしっとりくっついて。
はあ、はあ、と二人の吐息が重なる。
「あ、ああ……晴臣様……っ」
今日は雨の日。晴臣みたいな太陽のような人にふさわしくない日だった。
晴臣の部屋に呼ばれて甘えていると、雪崩込むように行われたセックス。
この思い出深い窓際で繋がって、悟は罪深い気持ちになった。晴臣の病気を知った場所だ。その場所で晴臣に腰を突きだして、脚もだらしなく開いて。寒いからと残されたシャツははだけて、もう肩まで剥きだしになっているから、もはや意味を持っていない。
先程まで執拗にジェルで解された蜜壷は、晴臣の質量を奥まで受け入れていた。それでも圧迫感は消えなくて、晴臣が入っていると悟はうっとりとした表情になる。
すると、晴臣が後ろから抱き締めてきて。
「大丈夫? きつくない?」
そう囁かれて悟は振り向くと、こくこくと首を縦に振る。
「きもちい……」
「そうだね、気持ちいいね。悟の中、とろとろに柔らかいのに俺のをぎゅうぎゅうに食べてる。俺もすごく気持ちいい」
お互いに顔を寄せ合って、愛し合う。瞳を閉じて肌を擦り寄せて。そうしてしまうと口づけをしたくなって、本当は駄目なのに晴臣の唇に自らの唇を近づけた。
しかし、ふにっと当たったのは晴臣の指先。
「だぁめ」
晴臣は子供に叱るように少し甘みの入った声で言う。それで悟の瞳が潤うと、困ったように苦笑して。
「悲しませちゃったね。ごめんね……」
ぎゅうっとキスしない分だけ抱き締めてくれる。
そして、結合部から湿った音が鳴ると、晴臣の手が窓へ貼りつく悟の手に重なった。
「あ、あ、あっ……」
定期的に送られてくる腰に悟は啜り泣く。まだまだ緩い律動だけど、全身に電流が流れて思考が蕩けていった。
「はるおみ、さま……すき、すき……っ」
「可愛い……悟はどうしてそんなに可愛いの?」
「あっ……!」
拙い口調で、すき、すきと何度も伝えていると、中の晴臣がずんと重みを増して。前立腺を抉りながら奥へ進んで、悟の太腿が小刻みに揺れる。
すると、濃くなった雲からゴロゴロと雷が鳴って、雨がいっそう激しさを増した。それに比例して二人も深く交わる。
「んっ、いっちゃう……」
甘い痺れに、ぐちゃぐちゃと掻き回され。
生理的な涙を流して晴臣へ絶頂を知らせれば、こちらも蜜を零す悟のペニスが晴臣の手に包まれ、扱かれる。両方は駄目、と頭で思うのに、言葉にはもう出来ない。悟は後ろから突かれながら、晴臣の手の中へ白濁を飛ばした。
「あと少しだから、もうちょっとだけ頑張れる?」
聞かれなくとも答えは決まっている。何度も頷き、絶頂の余韻と新しく迫る快楽の波に耐えようと、悟の手が指まで絡んだ晴臣の手を強く握った。
「ん、いい子……」
ご褒美にと背中へ晴臣の唇が当たり、花びらを散らせていく。
晴臣が褒めてくれるのは嬉しい。じわっとなにかが溢れて、温かくなるのだ。もっともっと愛して。その気持ちを示すかのように、きゅうん、と後孔が締まる。
その締めつけに晴臣は息を詰めて、数回ほど悟を揺さぶると、欲望を弾けさせた。避妊具越しに感じる愛しい人の鼓動。なぜか晴臣がいると安心感を覚えて、その瞬間、悟の脚が崩れ落ちる。
「っと……大丈夫?」
「ぁっ……」
晴臣の声に身体が震えた。悟は、二度目の絶頂を味わっていたのである。突かれながら射精を何度か体験して、とうとうお尻でイってしまう感覚を覚えたらしい。
「晴臣様……」
「うん、おいで」
名前を呼んだだけなのに、晴臣はニコリと笑って手を広げてくれた。それに甘えて、晴臣の身体に抱きつく。
あったかい。晴臣の心臓の音も聞こえて落ち着く。
「少し寒いね。雨だからかな」
そう言って晴臣は着物を拾って羽織ると、悟の身体ごと包んだ。
「強く降ってきましたね……嫌だな……」
「悟は雨が嫌いなの?」
「晴れの日のほうが嬉しい気がします」
そのほうが晴臣らしいから。
子供らしい理由だから、告げないけれど。晴臣を好きになって、そう思うようになってきた。だから、雨の日は晴臣が悲しんでる、もしかしたらなにかあるんじゃないかと、なんだか不安でそわそわして堪らない。
「そうなんだ。でも、いつまでも明るいままではいられないでしょ?」
晴臣にそう言われて、ハッとした悟は顔を上げる。映るのは変わらず優しい笑顔なのに──。
「……晴臣様も……?」
「そうだよ。悟は違うの?」
違わない。だが、認めたくない自分もいる。これは悟のわがままだ。
病を受け入れている晴臣。本当に強い人だと思う。でも、どこか切ない。隣でいつも支えていてあげたいと思うのに、手が届かない人。
「晴臣様には笑っていて欲しい……悲しませたくはありません」
「俺もそうだよ、悟。今だって……」
晴臣はふっと笑って、悟と頬同士を合わせる。今だってという言葉には、色んな意味が含まれていた。
それは悟にもわかった。だから、頬を擦って晴臣に甘える。愛してる、と何度も伝える。
少しの間お互いの存在を確かめ合うと、晴臣がゆっくり離れて。
「明日は晴れるといいね。今からてるてる坊主でも作る?」
「てるてる坊主? ふふ、懐かしいですね」
お茶目なことを言う晴臣に、悟は思わず笑ってしまった。続けて晴臣も微笑む。
明日、晴れてくれたらいいのに。そうしたら、ぽかぽか日和の中、テラスで晴臣とお茶をして、のんびり日向ぼっこと外の風に当たって……。
ずっとこんな時間が続いていて欲しいな。
二人は自然と身を寄せ合って、しばらくこの温かい体温に溺れていた。
End
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