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1話
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全世界の姉さま方おはよう御座います。
本日も我が豆腐学園では朝から萌えております。
ほら!あそこ!あそこですよ!!
まだ開始のチャイムすら鳴っていないのに、朝から告白なんて…まぁまぁ。うん、旨いですね!ご馳走さまです。
各言う私は只今2年1組前の廊下から望遠鏡なんかで裏庭を覗いて居るわけですが。これは先に見える景色が綺麗で決して不純ではありません。
何事も視界に勝手に入ってしまえば、罪にはならないのです。
「…睦月。またかお前…景色好きだな」
景色が好きな設定だけど、景色が好きな訳ではない。望遠鏡のまま声の元を辿ればクラスの人気者橘君がそこにいた。
あからさまなスポーツマンです感が数多くの妄想を引き立てくれる。短髪に高身長、好青年、端整なお顔と。今日もおかずに頂きます。
「…あそこの緑とか素晴らしいですよね。良い感じにグラデーションになっていて、見ていて癒されます」
適当な所を指差しながら適当な事を言ってみた。真面目な好青年である橘君は、切れ長の茶色いお目目で確認なんてしてくれる。
「あ、まあ…良いかな?わかんねーけど」
分かろうとまでしてくれる熱心さは全く何も感じて居ない自分の胸に突き刺さった。
「それよりもどうしたんです?声なんて掛けるぐらいですから、何か用が?」
「別に…ただ顔を見たかっただけ」
そうですかなんて、気軽に答えてはみたが、全然そうですか処ではない。
入学以降真面目な見た目のせいか進級してもなお委員長から抜け出せず、来年も委員長だと自覚するほど詰まらない自分に、興味があるなんて。
誰かと話す時は何時だってクラスの行事の事で。見た目なんてこれと言って目立たないのに、なぜか委員長選びの時だけ目立つのは何故なんだ。
何度も言うが真面目過ぎて何をしていても真面目に見えるらしく、盗撮紛いな望遠鏡観察すら周りは景色が好きだと信じて疑わない。
もう長い付き合いになるメガネのふちを押し上げて橘を見た。照れているのか頬が赤い。
「…顔が赤いですね」
「そうだろうな…お前に興味があるんだから」
そうか…とか言えない。少し直球過ぎないだろうか。オブラートに包んだり出来なかったのだろうか。疑問だらけだが、ああそうか。なんて、思い当たる節を思い出した。
彼は毎日必ず挨拶に来ていたではないか。
いや、しかし挨拶という短い文でしか毎日言葉を交わさないのに自分の何が彼をそうしたのだろうか。
ぐるぐる廻る頭の推理に、言葉を失った。
「あの…いつから?」
「入学した時から。…一目惚れだな」
「そ、そうですか…なるほど」
男前ですね。先程覗いた告白みたいに堂々としていて、もはやどうしたら良いか分からない。
追い付けない思考と、自覚するまでに至った結果、急に顔が熱くなっていく。
「ふっ…なんだ、睦月も赤いじゃん…同じだな、俺と」
その笑顔は誰もが見惚れる満面の笑みだった。
End
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