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図書館
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厳かたる大きな扉を開いて入ると、果てしなく続きそうなくらいの本がずらりと壁一面に並んでいた。
「うわ……」
圧倒されて出た声は予想以上に館内に響き、カウンターにいた灰色のフードをかぶった人達に見られた。
気まずく視線を逸らすが、カロエは構わずカウンターの一番端にいた者に声をかけた。
「カイルお兄様」
「おお、カロエ。久しぶりだな!!」
フードの下からは綺麗な銀髪が見えた。微笑む彼の目は銀色で、魔獣系銀狼族だと分かる。
「今日はどうした?お前が来るなんて珍しい」
館内に声が響くのもなんのその。ハキハキとした声は活発さを連想させる。
「彼の使い魔を」
こちらを見られ、ぺこりと頭を下げるとニッコリ笑って後ろに声をかけた。
「カエイ。お客様」
ひょこっと暖簾の後ろから出てきたのは黒髪に銀色の瞳を持った悪魔系銀狼族の少年。
「あ……カロエお兄様、お久しぶりでございます。そして……初めまして、カエイと申します。お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「スアム・タリズです」
「では、スアム様。契約の間へ案内いたします」
明らかに自分よりも年下なのに、しっかりと板についた対応だ。
カエイの後について行き、鍵で開けられた扉を潜れば魔法陣が床に描かれた天井も横幅も果てしなく広い部屋に着いた。中央図書館を外から見たら、この部屋は有り得ないくらいの広さだ。だから多分魔法でどうにかなっているのだろう。
「リラックスして下さい」
言われていつの間にか詰めていた息をふっと吐いた。
「とくに必要な呪文もありませんので。魔法陣の真ん中に立って、魔力を陣に被せるように放ってください。そうすれば貴方と相性のいい使い魔が出てきます。出てくるまで魔力を放ち続けていてください。では、どうぞ」
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