アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ドロップカラー
-
ドレスを作ってもらえることになって、 作業場まで三人で歩く足音が廊下に響く。
「リフラお父様、またお仕事サボってたんですか?」
「失敬な。サボってたんじゃなくてデザインを考えに行ってたんだよ」
「またコダマ叔父様を拉致してですか?」
「………………いーじゃねーか、べつに」
「お父様が怒るのも無理ないです」
「まったく、誰に似たんだか」
「そういうこというと、お父様に言いつけますよ?」
「あー、はいはい。そうだ、スアム。何か要望とかあるかな?色はこれがいいとか、裾とか、生地とか」
「あ、特にないです。全部おまかせで」
「了解」
作業場に着いたらしく、足を止めたリフラさんがドアを開いた。
決して片付いているとは言えないが、衣装ごとに使う材料が分けられていて、作業する人にとっては、いい環境なのが分かる。
「カロエ、スアムの色は?」
「赤はもちろんオレンジや白、ロイヤルブルーも似合うよ」
「了解」
並べてあった布を端から歩いていって必要な色だけを取っていく。それを作業台に置くと、こちらへ近付いてきた。
「失礼。採寸だけいいかな」
「あ、はい」
両腕を上げるとすごい速さで所々計られていく。
「はい。ありがとう」
あっという間に終わってしまって、カロエに用意された椅子に座り作業をただ眺める。カロエはリフラさんの手伝いをしていて、なんだか楽しそうだった。
「体で見せたくないところとかある?あぁ、常識は弁えているよ」
「特にないです」
「了解」
布を慎重に吟味している間に鉛筆が勝手に動いてスケッチブックに何かが描かれていく。
「か、カロエ……これ……」
勝手に動いているのを止めてはダメなのだろうか。
助けを求めるようにカロエを呼ぶと、大丈夫だよ、と返ってきた。
「お父様の頭の中とリンクしてて、イメージされたやつがそのまま描き出されてるだけだから」
「魔法?」
「魔法だね。かなり繊細な」
確かに繊細な魔法なのだろう。頭の中のものを造形するには明確なイメージと魔法を使う集中力が必要だ。
その上リフラさんは布を吟味しているので難しさは倍増だ。
素直にすごいと思える。
「そうだ、カロエ、お前のも作ってやるよ。スアムとお揃いの」
「え!!いいの!?」
「あぁ、お揃いの方が安心するだろ?」
「わーい!!やった!!」
スケッチブックの鉛筆がもう一本増え、隣のページに何かを描き始めた。
お揃いとなったからか、カロエが色々意見を入れていて、暇になったスアムはテーブルに伏した。
コトリとテーブルに何か置かれたようで顔を上げるとカーリスさんがニッコリ微笑んだ。
「あ、ありがとうございます」
「いいえー、カロエがごめんね。夢中になると他のこと忘れちゃうから」
つまり今僕のことを忘れているのか、とスアムは内心苦笑いをする。
「パーティーは初めて?」
「はい」
「僕も初めて参加した時は驚いたな。周りがあまりにも輝きすぎて」
つまりは美形美女がわんさかいるという事か。完全に自分は場違いになりそうだ。
「でもリフラが作ってくれた服を着ている人を見ると、見てくれだけ華やかなんじゃなくてあくまでも主役は自分だって分かる。だから綺麗だけじゃなくて、納得した綺麗さになるんだよ」
「………………リフラさんのことすごい分かってるんですね」
「それは、まぁ、僕の旦那様ですし……」
照れたように顔を赤くして手元のお茶を飲んだカーリスさんを見て自分もお茶を飲んだ。
暫くカーリスさんと話し込んでいて、気がつくとドレスが出来上がっていた。
「仮縫いだけどちょっと着てみて」
差し出されたロイヤルブルーのドレスに戸惑っていると、カロエが試着室まで連れていってくれて、ドレスを着てせくれた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
34 / 177