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パーティー
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ついに、パーティー当日がやってきた。この日のために毎日のリアス様の特訓に耐え、さらにダンスを練習するというハードな日々を過ごしたのだ。
カロエとお揃いのドレスで、会場であるカロニカ邸へと赴いた。
もはや入口から既にすごい。いろんなところの馬車がロータリーに止まり、降りる。降りる際のエスコートがある者もない者もいる。
スアムの乗っている馬車には、スアムとカロエ、イクルとステムが乗っていた。
向かいに座るイクルとステムはクレス陛下の三番目の息子シン王子の五番目と六番目の息子だ。
「今日、フローラ様に会えるんだ‥‥‥」
「久々だな」
「ドキドキが止まらないんだが‥‥」
「ったく、イクルは小心者だなあ」
「んだと?ステムだってリアス様のドレス姿期待してるくせに」
「だってリアス様がドレス着ると別人みたいなんだもん。美人過ぎて」
「ま、確かに」
向かいのイクルとステムの話を聞いて思わずカロエを見る。
「え、リアス様ってドレス着るの?」
「あ、うん。今日トルン様が上機嫌だったから多分着てくると思うよ」
「やったぁ!!」
「え!!まじで!!」
向かいの二人がすごいテンションで、ついついカロエと笑ってしまった。
馬車が止まるとイクルとステムが先に降り、カロエとスアムは二人の手を借りて馬車を降りた。
他の貴族たちも引けを取らない美しさで、スアムは自身のなさに引き返したい気持ちでいっぱいになった。
「はいはい、スアム行くよー」
「わわわっ」
明るい調子で言ってきたカロエはスアムの背中を押す。
パーティー会場の入口で迎えてくれたのは、目の前に立っていること自体失礼なんかじゃないかと思うくらい美人な人だった。
美しく流れるような青い髪に、火のような暖かさをもつ朱色の瞳。陶器のように白い肌はつるつるで、まるでお人形のようだがしっかりと動いている。
「フローラ様。お久しぶりです。パーティーのご招待ありがとうございます」
カロエとイクルとステムがお辞儀をしたので、スアムも真似をしてお辞儀する。
「いらっしゃい。今日は楽しんでいってね」
「はい」
前へ進むカロエ達についていき、ホールへとやって来ると、もう既にいろんな方たちが話し合っていた。
「ねぇ、カロエ。フローラ様って」
「フローラ様はグレン様のご長男。カロニカ様とご結婚なさって、最初は色々あったみたいだけど、今は幸せそうに過ごして……」
「長男??」
「そ。フローラ様はあれでも僕達と同じ男」
「え……」
嘘だと思えるほど、どこからどう見ても美人な女の人にしか見えなかった。
「一番美人で有名だから。カロニカ様も劣らずの美丈夫だから、まぁお似合い夫夫だね」
それを聞いて何度もフローラ様の方を見てしまうが、カロエに背中を押されてパーティーの中心部へと行く。
「リハル様」
「ん?あぁ、お前達。……お揃いか」
「はい!!それはもうリフラお父様の配慮で!!」
「へぇ、リフラ兄様が配慮ねぇ……」
リハル様の後ろからひょっこりと顔を出したのはラクス様。いつもは可愛らしい印象が強いが、今日は綺麗で可愛い。
「はい。カメリア様を誘き出すとか張り切っていました」
「そっちが本心でしょ、絶対」
「ふふ。そうかもしれません」
こうして話しているうちに、リハル様が他の貴族の方から話しかけられ、一言断って行ってしまった。
すると、会場が少しざわついた。
目を向けると、あの鬼のようなリアス様が綺麗なドレスを着て、トルン様に手を引かれながら会場に入ってきたところだ。
「あ、リアス様だ」
すると控えていたイクルとステムが急いで見に行った。
「すごい早さ」
「これも訓練の賜だね。使うところ違うけど」
遠目から見てもリアス様は美しいし、綺麗だし、隣にいるトルン様も引けを取らないほど、美しいしカッコイイ。
「リアス様に挨拶しに行こう!」
「え、えええ!?」
ただ眺めているだけで良かったのに、と内心泣きながらリアス様の前へと来る。
「…………あぁ、お前等も来てたのか」
話し方がいつもと変わらず、どこかホッとした。
「あれ?いつもと同じ話し方ですね」
同じことを思ったカロエにリアス様は笑いかける。
「今日はホストじゃなくて招待客だ。オレの自由だろう?」
「それじゃダメだって言ってるのに……」
隣でトルン様がぶつぶつと文句を言っていると、リアス様の眦が釣り上がる。
「へぇ、ルーはいつものオレじゃなくてパーティーの方のオレがいいんだ?」
「そんなこと言ってないだろう?いつだってリースは綺麗だし可愛いし押し倒したいくらいに魅力的」
「あっそ。だったらいいだろ」
「でももっと完璧を求めるリースも悪くない」
なんだかトルン様の話が長引きそうだな、と思ったらリアス様がトルン様を引き寄せて、唇を人差し指で撫でた。
「オレだってちゃんと見極められる。何年お前のパートナーやってると思ってんだよ、バーカ」
やけに甘ったるい声に、ぶわっとトルン様から色気が放たれる。
「リースッ」
「待て。これ以上触ったら知らないからな」
ピタリと止まったトルン様がぐっと堪えてリアス様の頬を愛おしげに撫でて、手を取ると甲に軽く口付け、切なげにリアス様を見る。
「仰せのままに」
嬉しそうなのを一生懸命堪えて怒ってる感じを出してるリアス様がなんだか可愛くてくすくす笑うとリアス様の顔がこちらへ向いた。
「何を笑っている」
「い、いえ。なんでも……」
「ふん。まぁ…………今日はフローラがホストだからな。役割はきっちりとこなす」
役割とはなんだろう?と疑問に思いながら、先を行くリアス様の道を開けた。
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