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秘密の部屋
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急いで振り返ったが、入口はすでに閉ざされていて、光も漏れてはいなかった。
火の魔法で炎を出して周囲を照らすと、石で作られた通路らしく左右に伸びていた。
取り敢えず西側へ行こうと思い、右手の方へ歩き始めた。
そうして十分程経過した。おかしい。別荘はこんなに広かっただろうか?いや、十分程歩けば壁や階段が現れてくるはずなのだが。もう暫く歩いてみるが一向に出口に着かない。
同じところを歩いているのではないかと壁石に魔法で印を付けながら進んだ。
けれど一向に出口は見えないし、印も見ない。足元がうっすら水を張っているので、海に出るかもしれない。
そんな期待を胸に秘めながら歩き進めると、下へと続く階段が見えた。先に行く道もあるが、地図でもいいから欲しいので、階段を下ることにした。
石でできた螺旋階段は先が見えない。いい加減してくれと叫びたくなった矢先、ひとつの扉の前にたどり着いた。
躊躇することなく扉を開けた。
まだ使っているのだろうか、ホコリっぽくない部屋だ。寝室からキッチンがある1LDKだ。
「誰かと思ったら君か」
寝室の入口に立っていたのはトルン様だった。
「せっかくリースを独り占めできる至福の時間だったのに。君はいつも邪魔ばかり」
「誰か来たのか?」
モゾモゾと寝台の上からこちらを伺ったリアス様の肌には痛々しいほどの赤い愛の跡が咲いていた。
「あの……ここは?」
「愛の蜜園」
「愛の蜜園?」
トルン様の返事を反復して首を傾げると、迷い込んだのか、とリアス様はすぐに察知したらしい。
「ピア」
リアス様が喚ぶと、綺麗な水色のペンギンが現れた。
「スアムを出口まで連れて行ってくれ」
【了解】
ボンと人間姿になったピアさんは、オレの肩に手を置いて回れ右をさせた。
「じゃあ、行こうか」
肩に触れる手は氷のように冷たい。仄かに冷気が漂っているようにも思える。
促されるまま部屋を出て、ピアさんの後に続く。
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