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岩山の頂き
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魔王城北側には広大な砂漠地帯がある。天候の変化は著しく、開拓には不向きな場所である。
しかし、その先の岩山は一転天候の被害はなく穏やかだ。
そんな穏やかな岩山の頂きに一軒、家がある。その家の広い庭は手入れが行き届き綺麗な花を咲かせ、畑は実を豊富に成らせていた。
そんな家の主はガーデンテラスで紅茶を片手に読書をしていた。
「カメリア様、招待状が届きました」
茶髪に白銀の瞳を持ち、執事服を着た青年は届いた招待状をカメリアへ差し出したが、招待状を一瞥もせずに返答がある。
「不参加」
「御意」
答えが分かっていた青年は招待状を胸ポケットへと仕舞い、一礼してガーデンテラスから出て行った。
穏やかな風が主であるカメリアの綺麗な黒髪を揺らす。手入れされた庭を見て、読んでいた本に栞を挟んでからテーブルへと置き、庭を歩きだした。
好きでいる場所。たとえ大衆から何を言われようとも関係ない。それほどに気に入った場所。元はただの岩場だったけれど自らの手と魔法で作り上げた邸宅。なかなか他人が来ることもないし、天気が荒れることもない。充分だ。
真っ赤に咲いた花の前で立ち止まり、じっと見つめていると、岩山のある程度の高さまで張った薄い防御璧を通り抜けた知らせがあった。
「来客だな」
先程まで見ていた赤い花の色が写ったような綺麗な瞳は嬉しそうに細められた。
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