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幸せな家族
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意識が遠のき、やがて心地よい風を感じ目を開けると、エドの目に飛び込んで来たのは美しい森に囲まれた立派な屋敷だった
エド「ここは…、どこだ?」
キョロキョロと周りを見渡すが、屋敷の周りは森が広がっていてその中に一本の道が続いてるだけ
屋敷の他には特に目につくものはない
「ここは、シンデレラ姫の住んでいたお屋敷さ。つまり君の実家でもある」
エド「うわぁ!?きゅ、急に後ろから話しかけるなよ…。驚くだろ…」
リ「アハハ、ごめんごめん。」
エド「ったく……。」
笑っていて反省のいろのみえないリオールに、エドは呆れながら屋敷を見上げた。
すっげー立派な屋敷だな………
こんなに立派なとこが俺の実家だなんて信じらんねーや…。
エドはぼんやりと屋敷を見あげながらそんなことを考える
すると、突然愛らしい少女の声がエドの耳に飛び込んできた。
「さぁ!こっちにおいで!」
エドがそちらを見やれば、金髪の美しい少女がニワトリ達に餌をあげていた。
一目見てわかった。彼女がシンデレラだ
たとえ、幼い少女とはいえ他の人よりも容姿がすぐれている。その飛びぬけた美しさは自然と人を惹きつけるものだった
エド「あれが、子供の頃のシンデレラ姫……」
リ「その通りだよ。子供の頃から美人だったんだね♪」
エド「……やっぱり、俺がシンデレラ姫の弟だなんて信じらんねーよ…。」
リ「やっぱりまだ信じられないか……。でも、だからこそ私が君に全てを見せてあげるのさ」
リオールがそう言うと、こんどは落ち着いた美しい声が聞こえてくる
「シンデレラ。転ばないようにね」
美しい金髪の女性は屋敷から出てきて、シンデレラに向かって優しく微笑みながら声をかけた
「大丈夫よ!お母様!」
彼女はどうやら、シンデレラの母親のようだ
ということはエドの母親でもある……
エド「あの人が、俺の母さんなのか…?」
リ「そうだよ。君の実の母親だよ。彼女は美しく優しい素晴らしい女性だ。その娘のシンデレラ姫も彼女と同じように美しく優しい人間に育った。だから、王子様にも見初められたのかもね」
エド「母さん…………」
エドの中で様々な感情が混じり合い、頭の中はグチャグチャになっていた。
実の母親をこの目で見ることのできた喜び…。自分が本当に彼女の子供でシンデレラ姫の弟なのかまだ信じられないという不安…。なぜあんなに優しそうな人が自分を捨てたんだろうという悲しみ…
まだ純粋で、素直な性格のエドにはこんなにも複雑な感情は耐えきれるものではなかった。
すると、そんなエドの気持ちを察したのかリオールがエドの肩を軽く叩いて言う。
リ「そんな顔しないで。さっきも言っただろう?君のお母さんは、君を捨てたくて捨てたわけではないって。」
エド「じゃあ、なんで……」
リ「だーかーら、何度も言ってるだろう?私が全て見せてあげると…。」
そしてエドが見たものは、まさに幸せいっぱいな家族の姿であった。
父、母、娘
3人とも心優しい人間で、まさに善人
素晴らしく、完璧な家族としか言いようがなかった
エド「3人とも、すごく幸せそうだ…。俺は…、ここにいたかもしれないのか…?」
心臓が締め付けられるような感覚
こんな、辛くて悲しい気持ちになったのは初めてかもしれない…
リ「そんな辛そうな顔をしないでおくれ。まだ続きがあるんだから」
そう言うとリオールはまた杖を一振りした
すると、一瞬で空は暗くなり夜中になっていた
エド「え、さっきまでまだ明るかったのに……」
リ「ここはあくまで私が魔法で見せてる世界だからね。時間を進めることも出来るんだよ」
リオールは微笑みながらそう言うと、屋敷の中に入っていこうとする
エド「ちょ、ちょっと待てよ!」
リ「なんだい?」
エド「勝手に入ったらまずいだろ!」
リ「大丈夫だよ。私たちの姿は彼らには見えないから」
リオールはさっさと屋敷の中に入っていってしまった
エドからしたら、見える見えないではなく、倫理的にダメな気がするのだが…
仕方ないのでリオールの後を追い屋敷の中へと足を踏み入れた……
エド「中もすげー立派だな…」
リ「こっちの部屋だよ」
リオールは手招きをしてエドを呼ぶ
エドが部屋の前に行くと、開いた扉から中にシンデレラの母親がいるのが見えた
母親は楽しそうに鼻歌を歌いながら編み物をしていた
すると、シンデレラの父親がやってきた
「まだ起きていたのか。早く寝ないと体に悪いぞ?」
「あら、あなた。今これを編んでいたのよ。もうすぐで完成するわ♪」
「お、上手くできてるじゃないか!流石だな」
「ありがとう。この子の為に沢山プレゼントを用意してあげなくちゃ」
そう言いながら彼女は自らのお腹を撫でた
エド「え…」
リ「この時彼女は、既に君を妊娠していたんだ」
ゆったりとしたワンピースを来ていたため分かりにくかったが、彼女のお腹は少しだけ膨らんでいた
「女の子だと思う?それとも男の子かしら?」
「俺は男の子がいいなぁ」
「じゃあ、男の子が生まれたら名前はどうしようかしら?」
「それなら、俺がもう考えてるぞ!」
「あら、そうなの?」
「あぁ!エドワードなんてどうだ!」
「いいわね!流石あなた!」
「だろー!」
生まれてくる子について話し合う2人はとても幸せそうだった
そんな中エドは、父親の提案した名前が自らの名前と同じだということに、ほんとに自分はシンデレラ姫の弟なのか……と、混乱しつつも納得しかけていた
リ「君の名前はお父さんが付けてくれたんだね。さぁ、また少し時間を進めるよ」
リオールがそう言うとまたいつの間にか明るくなっていた
リ「君が生まれた日だ」
窓から差し込む光がリオールの髪をキラキラと輝かせていた
それが、とても眩しくて…
エドは、また見惚れてしまった………
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