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記憶
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酒を作り出した男はつい先刻ほどの穏やかで親しげな雰囲気は消え、白い金髪に店内の暖色系のライトが透け、その髪を通った光が男の瞳に入り男相手に使っていい言葉なのか───そう。耽美であった。
あまり顔を見つめては不審に思われると、今更ながらに考え、ふと視線を落とすと名札。
金地のプレートに黒字で名前が彫られてある。
ライトが当たるのと金地というのが災いし、名前が読みづらい。
知らずの内に眉間にシワでも寄せて凝視してしまっていたのだろうか。
「ハンダです。半分の半に田んぼの田。」
と少し笑いながら言われる。
酒を作っていると思っていたのに急に話しかけられたこともあり条件反射で勢いよく半田の顔を見上げてしまう。
雰囲気のせいもあったのだろうか。
見上げたままじっと目を見つめてしまう。
半田の目が一瞬鋭くなった気がした。
が、穏やかな表情で、
「お酒出来てますよ?」
と勧めてくる。
いつの間に置いたんだ。
動きに気付かないほどに、いや、気づけないほどに、目に惹きつけられていた。
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