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鍵
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「鍵、持って行ったらよかったじゃないですか」
草薙の家につくと、昨日渡されたまま机に置かれっぱなしになっていた鍵に目が止まる。
「鍵とか重いっての」
吐き捨てるように笑うと、草薙はさして傷付いた様子もなく、あぁそう、とだけ言う。
これだけ物事に無関心な男なら、鍵くらい持っててもいいし、むしろ時間を合わせる煩わしさは軽減するのだろうけど。
一歩が肝心なのだ。
絶対に踏み込ませないし、踏み込まない一歩の線引きが。
そのたったの一歩を許して、ややこしいことに万が一なったら取り返しがつかない。
そうなれば切ればいいだけの話なんだけど、切るには惜しい体なんだよね、草薙って。
僕を無感情に抱く草薙は、僕を愛しも傷付けもしない。
「重いとか、気持ちの問題を言ってるんじゃなくて、時間の効率のこと言ってるんですけどね。あと、ストーカー。解決するまで俺も気になるんでここにいろって」
こういう言葉も心地いい。
言葉は無関心そのものなのに、妙に優しくて。
心地いいけど、いらないんだよなぁ。
「あのさぁ、僕はお前にストーカーをどうにかしてほしくて来てるわけでも、おしゃべりしに来てるわけでもないの」
わかるでしょ?と、ベットに腰掛ける草薙の膝に対面するように座り、首に手を回す。
草薙は浅くため息をついて僕の腰に手を回した。
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