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帰宅するとクレトがしがみついて離れないので、レオンは久しぶりに一緒に寝ることにした。
帰りの車の中でクレトはザックにファーストキスを奪われてショックだと書いて見せた。
きっと死の恐怖すら感じただろうし、実際、暴力も振るわれた。
もっと違うことを書いているのかと思っていたレオンは、それを見て拍子抜けした。
しかし、内容がどうあれ震えている文字を見て、レオンは、これは多分防衛本能なのだろうと気付いた。
人間は事が大きすぎると受け止めきれない。
処理しきれないストレスは忘れるか見ないふりをするのが安全だ。
それを人は無意識に行うことがある。
特に子供はそうだ。
だからクレトはザックに振るわれた暴力、それによる恐怖から自分を守るために意識を別なものに向けた。
それがファーストキスを奪われたという出来事だったのだろう。
レオンはそこまでの詳細な知識は無いが、クレトの訴えたことに付き合うことにした。
「そんなのノーカウントだ」
そうは言われてもクレトは気持ち悪さが消えなくて、30分以上も歯磨きをして、血がにじむほど唇を擦った。
それを見てレオンはクレトの手をつかんで止めさせたが、クレトはノーカウントになんかできないと書き殴った。
ベッドに入ってクレトを抱きしめ、レオンはあやすように背をタップした。
「いいか、キスってのはな、好きなやつとするもんだ。あんな男は人間じゃねぇんだからカウントに入れねぇんだよ。犬だ犬。犬に舐められたとでも思っとけ」
それでも、あの感触が残って気持ち悪さが拭えない。
クレトは手の甲で唇を擦った。
「止めろって。血ぃ出てんぞ」
泣くのを堪えながら恨めしそうにレオンを見上げるクレト。
「あのよ、お前、ガールフレンドいねぇんだよな?」
突然何を聞くのかとクレトは目を瞬いた。
「じゃ、今の内にキスの練習するか?」
「?」
「女じゃないから、これもノーカウントだ」
クレトと視線を合わせたままレオンはぐっと顔を近付けた。
「嫌だったら合図しろ」
一体何をするのかとクレトが思案する間も無くレオンの唇が押し当てられた。
柔らかい温かな感触は嫌ではなく、しかし、クレトは驚いて固まってしまった。
唇だけでなく口の周りまで舐められて、クレトは不思議と自分が落ち着いていくのを感じた。
「上書き終了。もう擦るなよ?」
そう言われてから、ようやく自分がレオンとキスしたのだと理解したクレトは一気に赤面した。
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