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結局、レオンはベッドを買い替えた。
今までより大きなダブルベッド。
クレトがアクサナに刺されて以来、再び一緒に寝るようになったからだ。
今回はクレトが言い出したのではない。
レオンが心配だから一緒に寝ると宣言したのだ。
女を連れ込めなくなるね、とクレトはからかったがレオンは、しばらく女はごめんだと肩をすくめた。
クレトの部屋のベッドは再び役目を失ったが、それ以外は以前と変わらない日常が戻った。
しかし、“元通り”ではないことに、しばらくして2人は気が付いた。
ザックの感触がふとした拍子に蘇る。
すっかり影をひそめていた不快な経験の残滓がアクサナの件をきっかけに姿を隠すのをやめた。
以前ほど鮮明ではないが、気持ち悪いものは気持ちが悪い。
血がにじむほどは擦らないが唇がひどく荒れていればレオンが気付く。
その度にレオンは「ノーカウントだ」と上書きしてくれた。
だが、それが度重なるうちにクレトは自覚した。
確かにザックの感触が嫌で唇を擦ってる。
しかし、それはきっかけに過ぎない。
そこまでゴシゴシ擦るほどの不快感ではないのに、ひび割れるほど荒らすのはレオンのキスが欲しいからだ。
自分はレオンとキスしたくて唇を荒らしてる。
クレトは自分の行動の理由に気付いてしまった。
荒い呼吸の音と衣擦れの音。
レオンは眠っている。
クレトは自室で机に向かっている。
しかし、その手はペンではなく自分の屹立する熱塊を握っていた。
唇をなぞったらレオンの感触がよみがえって下腹部が疼いた。
レオンとキスしたくなって、その感触を目を閉じて追いかけた。
それでは足りなくなって手の平にキスしたが柔らかくなくてがっかりした。
試しに腕の内側に唇を押し当ててみた。
柔らかさが似ていて思わず吸い付いた。
頭の中でレオンとのキスを思い描く。
彼と唇を合わせ、押し付け、吸って、舌を触れ合わせて…。
クレトは熱を吐き出した。
白く汚れた手を眺めて、自分がレオンで抜いたと自覚した。
そして、肩で息をしながら考える。
どういうことなんだろう?
この気持ちは何?
レオンとのキスを妄想してイった。
体は気持ち良かったが心が重い。
自分は何をしているんだろう?
意識してしまうと、それまでは何でもなかったことが気になってしまう。
何も思わずに今までは同じベッドで眠っていたが、こうなると落ち着かない。
数インチ隣で眠るレオンの体温が、息遣いが、とにかく気になる。
いつまでも触れていたいと思うのに、触れたら胸が苦しくて手を引っ込める。
でも、そうすると寂しくてレオンの胸に顔を付けたら一気に心臓が激しく拍動を始めた。
慌てて離れると見えた寝顔に顔が熱くなる。
静かに寝息を立てる薄く開いた口に自分の唇を押し当てたくなって、体温が一気に上昇した。
クレトはただ困惑した。
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