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「深月はどうした?」
先ずはそれだ。
一緒に、たぶん母親の実家であるあの家に向かっただろう2人が何故栗山1人で帰って来たのか。
それを知りたかった。
「深月様は・・・1人になりたいと仰ったので別宅に残って貰いました。」
「1人になりたい?」
何故?
俺はその答えを促すように栗山を見詰める。
その視線に気付いたのか情けない顔の栗山が俯いてポツリポツリと話し始めた。
「今日からの『教育』のお話をしていました。何故このような事を勉強するかも・・・その話の流れで、その・・・」
何時もは無い歯切れの悪さにイライラする。
「ハッキリ言え。」
幾分怒気が含まれた言葉に栗山が小さく溜め息を吐いた。
「琉聖様との事を・・・話してしまいました。」
その一言に頭が真っ白になる。
栗山が話しただろう話がどの事なのかは想像出来た。
それは俺の初体験・・・男を初めて抱いた時の話だろう。
だが一つ気になる事があった。
「相手についても、話したのか?」
俺の言葉に躊躇いがちに栗山が頷く。
そこで俺は思わず大きな溜め息を漏らした。
俺の初めての話はどうでもいい。
でも、相手が栗山だって事は出来れば深月には知られたくは無かった。
栗山は今は深月付きの執事だ。
その信頼出来る相手が俺と関係があった。
それが過去だろうと嫌に決まっている。
項垂れる俺に栗山の小さな謝罪が聞こえた。
「申し訳ございません。」
「今日はもういい。下がれ。」
俺の言葉に栗山は静かに部屋を出て行った。
1人になった空間にまた溜め息が漏れる。
深月はどうしてるだろう?
1人で何を考えてる?
やっと心を開いて大なり小なり俺に好意も持ってくれ始めたのに・・・
この『教育』が始まる前にちゃんと話しておくべきだった。
俺の口からちゃんと。
自分の詰めの甘さに後悔ばかりが頭を支配していた。
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