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日常を為すべきだと、刹那
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「…話は変わるけど、今日はバイトの日じゃなかったかい?すっかり慣れて期待のホープだって石田さん言ってたよ」
わざとなのかそうではないのか、話を変えてくれたことに心底ほっとする。
「あ…そうですね。石田さんも他の方もとても親切で助かってます。本当に紹介してくれてありがとうございました。最初は接客なんて出来るか心配でしたけど、なんとかやってます」
「最初君が『バイトをしたい』って言ったとき、びっくりしたけど嬉しかったんだよ。外の世界に踏み出す勇気が出たんだなって」
……勇気………違う、……違う…
俺にはそんなものない…
「…すいません…時間なのでもう行きますね。今日はありがとうございました」
逃げるように彼から目を逸らすと、俺はここから出ようと足早に扉に手をかけた。
「…私は君が幸せであることを祈っているよ」
理事長の小さな呟きは俺には届かなかった。
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