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夏の花火と泡沫の心
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「早いもので、今日で一学期も終了です。これから夏休みが始まりますが、体には気を付けて、羽目を外し過ぎないように過ごしてください。
まあ、若いうちは冒険することも大事だと思いますが…」
夏休みの始まりを知らせる挨拶が、遥か彼方に聞こえる。
俺は夏休みが始まる、ということなんかより四月から今までに起こったことに思いを巡らせていた。
一縷に、会長に、生徒会のメンバー二人共に素を晒してしまった。
確かにどちらとも不可抗力であると言えばそうなのだが。
俺のこの姿が偽りであるということを知ったはずなのに、二人とも何も深いことを追求してこない。
心にかけた鍵と、他人と深く関わらないと決めた感情を見透かされているかのように。
これ以上踏み入れてはいけない、というギリギリの境界線を理解されているように。
そして最近では、生徒会室にいる時はあの口調でいることをやめた。
あの小坂との一件があって以来、会長に知られてしまったこともそうであるが、“副会長”であることが正直苦しくなって。
皆に「お前は本当はこんな奴じゃないんだろ」と言われているような気がして、ふとした拍子に自分が何なのかが分からなくなる。
けれど、会長と一縷の二人以外の前ではいつも通りにしているから、自分に「俺は大丈夫」とある種無理強いの念じをかけている。
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