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夏の花火と泡沫の心
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「よいしょ、っと…」
教科書一式が入った重たいボストンバックを抱えて、学園の門から外へと出る。
勿論、恰好はいつものまま。髪色は家へ帰る途中どこかで落とせばいいや、と考えた末にこのまま部屋を出てきた。
いつも帰省する時はこうしてるしね。
「あ、春先輩、」
門を出かかった所で、思いもしなかった人物から声をかけられた。
…小坂、だ。
「この間は、すみませんでした…っ、僕、春先輩のこと何も考えずに喋ってしまって…本当に、ごめんなさい」
彼の口から謝罪の言葉が発せられ、正直とても驚愕した。
彼は中学時代の俺を知っている。
だから、今の俺を疑問に思って尋ねることは当たり前のことで、小坂は何も悪いことはしていないのだ。
俺が勝手に焦って声を荒げてしまっただけで。
「…小坂ちゃんは何も悪いことしてないよ~変わったのは、俺なんだから」
小坂の瞳が揺れる。
あの時以来、顔を合わせて話すのは始めてなので変化してしまった俺を改めて認識しているのだろう。
「は、る先輩は…、どうして変わってしまったんですか…?」
震えた口調で問われても、俺は静かに笑い返すことしか出来なかった。
だって君は、その理由を分かってるだろうから。
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