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夏の花火と泡沫の心
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「学園祭についてどうしても決めなければならないことがあるので、夏休みに集まりたいのですが、空いている日を教えて頂けますか。時間は取らせませんので。確か一縷も桜川も実家は遠方ではありませんでしたよね。」
夏休みが始まって十日程が経った時のこと。
「夏休みの間に集まりたい」という趣旨のメールが、会長から届いた。
あれ?会長俺のメアド知ってたんだ…いつ教えたんだっけ、全く記憶にない。
正直、学園の外で会長や一縷に会うことは抵抗がある。
ましてや、会長とはあんなことがあったばかりだし。
一縷とだって、嫌われていた頃に比べたらだいぶ関係性は良くなったけれど、何だかよそよそしいというか…
「このメール、会うことが最早決定事項になってるし…」
はあ、とため息をつきながら「分かりました。俺はいつでも大丈夫です。二人に会わせます」と返信を送った。
「会いたくないなー…」
クーラーのかかりきった涼しい部屋で誰に向けるでもない言葉を呟いた。
見慣れた部屋に、使い古された教科書と読み飽きた書物の数々。
学園での部屋より、何倍も生活感に満ち溢れていて過ごしやすい、はずなのに。
不思議と落ち着かないのは何故なんだろう。
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