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ーもう一つの復讐ー
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今日は彰が帰って来る
大丈夫、何を言われても笑顔で頷く練習は何度もした
どんなに好きでも傍にいてくれる人の方が絶対いいに決まってる
「出ない・・・」
おかしいな
何度かけても電話に出ない
ラインの返事も無いし既読もつかない
もしかして充電切れ?
でも几帳面な彰に限ってそんな事は無いはず
心配で何度も何度も電話をかけた
呼び出し音から留守電へのアナウンスは聞き飽きた
留守電にもメッセージを残したけど連絡が来ない
その日は携帯を握りしめたまま、朝を迎えた
電話は相変わらず同じ反応
学校へ行く気にもならない
何回電話を掛けただろう
もう数えきれない
何も食べず、ソファーに腰掛けたまま携帯を見つめた
彰・・・一体どうしたの?
何故電話に出てくれないの?
プレゼントだってまだ渡していないのに
そんな事を考え、また朝を迎えた
いつもは付けないテレビだった
時間を見る必要も無かったけど、何となくテレビを付けた
そして・・・頭から冷水をぶっかけられたような感覚に襲われ、思わず立ち上がった
「・・・・・・嘘だろ?」
テレビに映っていたのは愛する人
そう、彰の顔
「殺されたって・・・ふざけんなよっ!!」
信じられない
信じたくない
公園で発見されたって、どう言う事だよ!
「どういう・・・嘘だーーーー!!」
気が狂いそうだった
もしろ狂った方が楽になれた
彰が死んだ・・・いや、殺された
誰に?だってあいつに会いに行くって・・・どうして?
頭を抱えながら泣き叫んだ
誰が彰を?
まだ俺は彰に何も打ち明けていない
プレゼントも渡していない
お土産だって・・・そんなのはいらない
彰が帰って来てくれるだけでいい・・・なのにっ!
「うわぁーーーーー!!」
夢だと言って
これは悪い夢なんだ
俺は今夢の中にいるんだ
花瓶をテレビに投げ付け、彰に電話をした
今度は電源が切れていた
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ・・・・彰彰彰彰・・・ユルサナイユルサナイユルサナイ・・・」
誰が彰を殺した?
絶対許さない
いや、違う
彰は死んでなんかいない
これは夢なんだ・・・そう目が覚めれば彰は帰って来る
でも夢から覚める事は無かった
これは現実
何度も繰り返し報道される彰の死
楓さんの弟だからマスコミは大喜びだろう
それから数日後
彰を殺した犯人が逮捕された
「・・・・・・・・お前が彰をっ!!」
どうしようもない怒りに包まれ体が震えた
彰はお前を信じていたのに
あんなに嬉しそうな顔で頬を染めながら話していたのに
なのにこいつは・・・そんな彰を・・・・・殺す殺す殺す殺す
絶対殺す!
何度も壁に頭をぶつけ、床には血が滴り落ちていた
俺が強引に彰を止めていれば
でも、それでも彰は会いに行っただろう
そう・・・殺されるために
冷静さを保つために何度も頭を壁にぶつけた
流れ落ちる血が目に入って視界が赤く染まる
一番許せないのはあいつ
ニュースで何度も面白おかしく言っていた言葉
(ゲームで知り合った男友達)
あいつに間違いない事だけは理解出来た
裁判の日、俺は一番後ろの傍聴席にいた
あいつの話を聞きながら怒りに震えた
どうして彰がそんな目に遭わなければいけないんだっ!
あの優しい彰が・・・最後に目玉をえぐられて・・・っ!
流れ落ちるのは怒りの涙
そしてもう一人、俺と同じ涙を流す人がいた
そう、楓さんだ
今にも殴り掛かりそうな体を押さえつけられていた
死刑にだけはならないでくれ
死刑になったら俺が殺す事が出来ない
必ずこの手であいつを殺す
必ず・・・
数日後の判決を聞いて俺は行動に出た
まずはあいつに近付かなければ
その為の金だ、惜しむ必要は無い
有効利用してあいつの居場所を突き止めた
勿論、どんな刑務所なのかも確認済み
普通の刑務所に入られたら厄介だけど、何故かあいつは特殊な刑務所に入れられたらしい
そして嬉しい事に、その刑務所には金で入る事も可能
もちろん、裏で何が行われているのかもわかっていた
だから急いだ
誰かに殺される前に俺が殺す
同じように苦しみを味合わせてじっくりと殺してやる
彰の苦しみと同じ数の苦しみを与えてやる
俺には彰しかいなかった
また俺は一人ぼっち
誰も信用出来ない
生きている事さえ苦痛
でもね、あいつを殺したらすぐにそこへ行くよ
生きていても仕方がない世界なんかいらない
彰にまた会えるのなら何でもするよ
そして今度こそ永遠に傍にいるから
もう少しだけ待っていてね
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