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最近やたらと騒がしい
何だろうね、煙もたまに上がっているけど火事では無さそうだし
「楓」
「凛、どうしたの?」
「来て」
「わかった」
断る理由は無い
凛と二人で牧場へ向かった
「ちょっと待っててね」
「うん」
しばらく待っていると綺麗な箱を持って戻って来た
「お待たせ」
「それは?」
「この中には大切な物が入っているんだ」
「そう」
凛は箱を開けて写真を取り出した
「彼が俺の助けたい人」
「見てもいいの?」
「うん」
写真を受け取り、写真に写っている人を見つめた
すごくいい人って感じとその隣には正反対の冷たい笑顔の人
凛と朱雀と知らない人が四人で写っていた
「どっちなのかな?」
「彼」
やはりいい人の方だった
大体そう
世の中の仕組みなのかな?
いい人がいつも悲しい思いをするのは
「その写真は病気がわかる前に撮ったんだ」
「そう」
「旅行に行ったんだ、彼はアサって言う名前でね・・・」
凛が楽しそうだけど辛そうに話してくれた
大体の話は理解出来た
凛達は一緒に暮らしていてこの二人は大切な家族だと言う事
アサは心配性で料理上手だと言う事
もう一人の人はヨルと言う名前で強くて賢い人だと言う事
「これはね、その旅行の時にアサが見つけた四つ葉なんだ」
「うん」
凛は首にかかっていたネックレスを見せてくれた
きっと大切なお守りなんだね
「大切にしないとね」
「うん、それでね」
「うん」
「これ、俺が作ったんだけど・・・気に入らなかったら捨ててね」
そう言って小さな花のピアスをプレゼントしてくれた
すごく嬉しかった
「凛が?」
「うん、ダリアのピアスをつけていたから花が好きなのかなって」
「ありがとう、大切にする」
「よかった」
「でも俺にはお返しが何も出来ない」
「そんなのいいんだよ、気にしないで」
「でも」
「わかった、じゃ午後の搾乳を手伝って?」
「いいけどいつもやってるし」
「いいのいいの!」
そう言って笑う凛
最初のイメージとは全く違う
きっとこの凛が本当の凛なんだろう
「海を見に行こう」
「うん」
今日は崖から海を見下ろした
この場所は坂になっているから気を付けないとね
「舟に誰か乗ってる?今光ったよね?」
確かにこの反射は不自然
そして
「凛!」
狙われているのは俺?
それとも凛?
どちらでもいい
俺は凛を庇って撃たれそのまま崖の下に落ちた
「楓ーーー!!」
走馬燈かな・・・
確かにいろんなものが見える
と言う事は俺は死ぬんだね
それでもいいや
彰に会えるしね
復讐は出来なかったけど許してくれるかな?
あれ?大切な人は他にもいるはずなのにな
今は何も思い出せない
凛は無事だったかな?
あの音を聞いてきっと朱雀が来るはず
最期にいい事が出来てよかった
凛は生きなければいけないから
必ず待ち望んでいるイルカが来るよ
俺はそう信じている
撃たれたけど痛みは無い
そして地面に叩きつけられる音と同時に目の前が真っ暗になった
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