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「氷龍、お前は卑怯だぞ」
「冬矢」
「散々楓にちょっかいをかけて振り向いたら無関心か?」
「黙れ、お前わかっているのか?」
「ああ、わかっているよ・・・俺は兄だしね」
「冬矢、ごめんね・・・俺」
「それでいいのか?」
「和海には感謝している、だから会って話をつけたい」
「それはダメだ、選べ・・・和海か氷龍か」
「今?」
「今だ、和海を選ぶのならここへは二度と来る事は無い、氷龍を選ぶのなら和海には二度と会えない」
「どうして?」
「全て和海が関係しているからだ」
「えっ?」
「話の続きは選んだ後だ」
和海が関係している?
どうして?
俺が選ばなければ二度と会えないと言う事?
俺はどうしたら
「楓の気持ちに従えばいい、後悔しないようにな」
「俺は・・・ここに残る」
「それは氷龍を選ぶと言う事だな?」
「うん」
「氷龍、覚悟は出来ているんだろ?」
「覚悟?楓と出会った日から出来ているさ」
「わかった・・・丁度いい、楓これを無言で聞け」
「携帯?」
携帯は冬矢のだったんだ
スピーカーにして机の上に置いた携帯を言われた通りに無言で聞いた
(冬矢、凛が死なずに何故楓が死んだのですか?)
(耳に入るのが遅すぎだろ?)
(必ず凛達を殺す・・・貴方も氷龍も)
(お前が凛を狙わなければ楓は死ななかった)
(冬矢・・・何が言いたい)
和海?
まさか・・・凛達の相手は
(だから楓を早く返せと何度も忠告したのに、復讐などどうでもいい)
(お前は楓の復讐を何だと思っているんだ)
(楓ならすぐに殺すと思っていた、私の考えは間違っていた・・・くだらない復讐などさせるんじゃなかった)
くだらない?
確かにそう言った
和海にとっては俺の復讐などどうでもいいんだ
冬矢と視線が合い、俺は静かに頷いた
(お前に言うのを忘れていた・・・楓は生きている)
(えっ?まさか)
(久しぶりだね、和海)
(楓・・・ですか?)
(俺のくだらない復讐の為に大金を使わせてごめんね)
(楓、今すぐ戻って来て下さい)
(それと・・・俺の大切な友達を殺そうとしたんだって?許さない)
(そんな事などもうしません、貴方が戻って来てくれれば)
俺が戻れば凛達はもう狙われない?
迷う俺を見つめた氷龍が頷いた
わかった、素直になるよ
(もう遅いよ、和海)
(どういう事ですか?)
(悪いな、楓は俺がもらう)
(・・・・・・氷龍、お前)
(俺を殺すの?和海)
(飼い犬に噛まれたと言う事ですか・・・楓)
(わんわん)
(このままでは済ませませんよ)
(ああ、いいだろう・・・俺も本気だ)
(楓、本当にそれでいいのですね?)
(いいよ、俺犬だし)
携帯が切れ、思わず笑ってしまった
もう、悲しいとかじゃない
俺の目は節穴だったんだね
ホント、バカみたい
「俺は出掛けて来る」
「ああ」
「病室の準備を」
「わかった」
冬矢が頷いて俺の頭を撫でた
「和海の事だ、まずは病院を狙うはず」
「お願い、冬矢」
「ああ」
「気を付けて」
「大丈夫だ」
そう言った冬矢は急いで病室を出て行った
しばらくして聞こえたヘリの音
俺には何が何だかもうわからない
「俺の事も話すべきだな」
「当たり前でしょ」
「怒るな、わかったから」
そして氷龍から全ての話を聞いた
まさかそんな人だったとは驚いた
だから出入り自由で、不自由のない生活が出来たんだ
「和海とは友達ではないの?」
「友達?笑わせるな」
「じゃ、氷龍の友達は誰?」
「わかるだろ?」
「冬矢と朱雀達?」
「そういう事だ」
「楽しかっただろうね、俺を見て」
「だな」
「俺は氷龍に拾われたのかな?」
「ふざけるな、お前は犬ではない」
「それを聞いて安心した」
「諦めていたのに」
「粘り勝ちじゃない?」
「なるほど」
「今日は言わないの?」
「お前・・・」
「言わないんだ」
「愛しているよ、お前だけをね」
「俺も」
そっと俺を抱きしめた手はとても優しかった
ここまで二面性がある人は初めてかも
「お前を命を懸けて護る、凛達もだ」
「うん」
「俺をこんなに動かしたのはお前ぐらいだな」
「光栄だね」
触れた唇で何故気付けなかったんだろう
和海の唇はとても冷たかった
でも、信じていたから冷たさも気にならなかった
俺に触れる指も同じ
凍えるほど冷たかった、まるで氷の温度だった
「もっとして」
「傷に障る」
「いいから、もっとして」
「わかった」
離れたくないと唇が言う
絡めた舌で感じる愛情の深さ
俺は危うく愛する人を間違えるところだった
「俺が和海を選んだら諦めたの?」
「お前の気持ちを大切にしたい」
「そう・・・ホントは?」
「お前を連れて逃避行」
「クスッ」
「お前が死んだ時、俺は気が狂いそうだった・・・和海を殺しに行くはずだった」
「氷龍」
「よかった・・・本当によかった」
初めて氷龍の涙を見た
本当はとても優しい人なんだ
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