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ー微笑んでさようならー
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和海の攻撃が激しくなった
安息の日々はほんの数日
俺達は監獄に立てこもり、乾杯していた
きっと最後の乾杯になる
みんなグラスを持ち、深い思いでワインを飲み干した
「あの野郎、ミサイルでも打ち込んだのか?」
「裏で仕入れたんだろ?」
「冬矢も知らないの?」
「全く」
俺達はボロボロだった
食料もない日々が続いていた
「凛達は逃げろ、ヘリが残っているからまだ間に合う」
「嫌だよ、そんな事は出来ない」
「お前の目的は果たしただろ?無駄死にするつもりか?」
「無駄じゃない、俺達は逃げないと決めたから」
「バカ野郎だな」
「そうだよ、俺達は馬鹿野郎だから」
凛達は島から出なかった
俺達と一緒に出て行くと言って聞かなかった
「凛、お願いだから安全な場所へ」
「楓、それは無理かな」
「凛!」
「俺達を甘く見ないでくれる?」
「だけど」
「そうだぞ?俺達は意外と強いししぶとい!」
「アサ、わかってるけど逃げて」
「嫌だね」
「冬矢も逃げて!燕羽を連れて」
「俺達もここに残る」
「どうして?」
「燕羽が聞かなくてね」
「燕羽、これは遊びじゃない・・・逃げて」
「無理」
「死ぬよ?」
「いいよ、ここで逃げたら後悔するし」
「らしいぞ、楓」
「みんなバカ過ぎでしょ・・・ありがとう」
こんな友人初めて
どうしてみんな頑固なの?
どうしてみんな優しいの?
「よし、氷龍・・・今の現状を教えろ、これが俺達の最後の攻撃になる」
「監房にいる奴らはさっきの爆破でほぼ即死だ、食糧庫も焼かれたし水も無い、敵は何十人残っているのかもわからない」
「和海は?」
「いないな」
「どうする?二択だ」
「バカか?俺が逃げるわけないだろ」
「だと思った」
「氷龍、武器はあるか?さすがにそろそろきついかも知れないし接近戦は凛達には不利だ」
「これを」
「ああ」
みんなは武器を手にして頷いた
「大丈夫、負けないから・・・楓、ねっ?」
「凛」
「俺は怒っているんだ・・・牧場をめちゃくちゃにされたお返しをしないとね」
「ごめんね」
「何言ってるの?しっかりして!」
「うん」
「おおっ!手榴弾本物!」
「燕羽、気をつけろよ」
「うん」
「やばい、来るぞ!」
「楓!」
ものすごい爆音で耳が痛い
建物が揺れる
天井が崩れる
氷龍は俺を庇って怪我をした
「氷龍!」
「よかった、怪我は無いな」
「俺は大丈夫、でも出血が」
「朱雀、止血を」
「ああ」
「駄目だよ、無理しないで」
「させろよ・・・止めても無駄だ」
「氷龍」
「止血はしたが傷が深い」
「何とかしろ」
「痛み止めを打つ」
「ああ」
もう止められない
傷の感覚を失ってまでどうして
「楓」
「冬矢・・・」
「お前の為だ、氷龍の本気を初めて見るよ」
「でも、これ以上は」
「あいつは死んでもお前を護るつもりだ」
「・・・・・・・・」
「その思いは受け取ってやれ」
「うん」
「よし、行くぞ」
ここにいるのは危険だと判断を下した
敵は何人いるのかわからない
でもここで死ぬよりはマシ
「多いな」
「俺に任せて」
燕羽が手榴弾を投げた
悲鳴と煙が入り混じる
チャンスは今しかない
生き残る為に俺達は進むしかないんだ
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