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side 桐生
『君は学習能力がないよね』
『馬鹿には教育が必要だよね』
『自分だけが不幸だとか、変な勘違いはやめなよ』
『僕を睨んだって治るわけじゃないんだから。無意味だよ』
『うるさいなぁ。苦情がすごいんだから黙っててよ』
数々の暴言をぶつけていた。
暴言王ではあったけど、腕は確かで。
これでも治した人数は俺より多い。
だから誰も何も言わなかった。
でも、ある日。
隼人が自殺未遂をした。
9歳の時にいつも通り主治医に暴言を吐かれて、苦情の手紙を見せられたらしい。
その頃の隼人は精神的に特に不安定だった時期で、うつ病の症状もあって、主治医が部屋から出て行った後で窓から飛び降りようとしたらしい。
たまたま部屋にいた医師によって止められたが、次はハサミで自分の腕を傷付けようとしたり、とにかく死のうとしていたと聞いた。
部屋中大騒ぎで問題になったのだが、俺は別件で忙しくて知ったのはかなり後だった。
この事件で当時の主治医が追放されて、俺に回って来たというわけだ。
他の優秀な医師たちが全員頑固に拒否したせいで。
正直面倒ごとは嫌いだし、できれば関わりたくなかった。
それが今では心配で寝られないなんて。
まったく。
ふざけた話だ。
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