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【無慈悲な夜】メンバー
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息が整った後、【回復(ヒール)】で疲れを癒した後に【浄化(クリーンアップ)】と【消臭】を掛けた。
「本当に魔法が使えるんだね」
アルが俺の体をギルマスの方に向け、背中にアルの体温を感じる。
「それでは見せてもらえる?」
「惚れるなよ?」
アルはギルマスに警告してから、俺のフードを取った。それにより顔が顕になり、俺からもギルマスの顔を確認出来る。
ギルマスは30代半ばぐらいで、大きな犬耳が生えていて髪はアッシュ系のブラウンに黒いアッシュが所々にある強面のイケメンだった。
「これは……、可愛いね。アルジェント様が周りを警戒するのも納得だわ」
「俺の運命の番だからな」
「俺は【天使の片翼】のギルドマスター、セグロ・ジャコール。ジャッカルの一族で歳は380歳。仮契約の番ありだよ」
「キリ・サイトーです」
素っ気なくなってしまったが仕方ない。セグロさんの目が俺を鋭く観察してるのだから。
「キリ君は本当に人間?」
「……だと思います」
「おい!」
「アルジェント様、落ち着いて。検査結果ではそう出てるから疑いたくても証拠も何もないのが事実だから」
セグロさんが疑うのは仕方ないと思う。黒髪黒目の人間は過去にいなかったみたいだし……。
「キリ君が何かしたらアルジェント様に迷惑がかかるということだけ覚えておいてね」
「はい」
アルがセグロさんに噛み付こうとするが止めた。間違ってることは言ってないし、俺はアルを裏切る気などないから何を言われても動じない。
「それではギルドについて説明するね」
「お願いします」
「ランクはFからスタートで
F→E→D→C→B→A→S→SS→SSS
Cランクまでは最低でも各10回ずつ依頼を完了しないと上がらない。
個人の場合は自分のランク以下のみ依頼を受けられて
グループの場合はグループのランク以下のみになる」
例えばグループランクがAランクで
FからEになるのには
グループでAランクの依頼10回やっても
個人でFランクの依頼10回やっても
同じということか。
「Bランク以降は個人での依頼の完了を10回以上しないと上がらない。例えばCランクからBランクに上がるのにはCランクの依頼を10回完了してBランクになるということ」
グループ任せでの実力なしの名前だけのランクにならないシステムになってるのか。
「但し、回復特化や支援特化の場合は少し変わってくる。特に回復特化は魔力量だけが重要となり、ランクアップの機会も格段に少ない」
支援魔法や回復魔法しか使えないのに、1人で依頼完了させるのは無理はある。そのための処置があるということか。
「何か質問はある?」
「いえ、今のところはないです」
「それでキリ君はグループはどうする?」
「俺と一緒に決まってるだろ」
「あはは。やっぱり? それでは【無慈悲な夜】だね。キリ君ギルドカード貸して」
アイテムボックスからギルドカードを取り出し、セグロさんに渡す。セグロさんが専用の魔道具にカードを入れると、すぐに出てきた。
再び戻ってきたカードには【無慈悲な夜】のメンバーだということが記されているのだろうが、何分読めないので確認は出来ない。
◇◇◇
セグロさんとのお話も終えて、他のメンバーが明日からの依頼のため話し合いをしてる2階部分へ連れて行かれてた。お姫様抱っこで。
「リーダー遅いよー」
「運命の番って、その子?」
「小さそうだねー」
「お前ら黙れ」
ここでも俺の座る場所は、アルの膝の上。
嫌ではないけど、慣れてないから恥ずかしい。
「キリ、何食べる?」
これは……、困った質問をされた。
『アルごめん。俺どんな食べ物があるか分からない。10日間、まともな食事が取れてないから胃に優しくて消化にいいものをお願い』
『……分かった』
アルは悲痛な色を少し見せたあと、店員を呼び注文する。
「うわー……、ラブラブっすね」
「無表情なアルジェントでも、そんな顔するんだね」
「というのか、番ちゃん紹介してよー」
ビールを勧められたが丁重に断り、サッパリしたゆず茶のような味がする茶を飲む。アルも俺に合わせてくれてるのかお酒は飲まないでいた。
「俺の運命の番だ、以上」
「え? それだけっすか?」
「独占欲強過ぎると嫌われるよ?」
嫌われると言われアルは「うっ」と呻く。
「嫌いになるか?」
「甘甘なら嬉しいよ」
病んでしまって「俺以外見れないように殺す」とか、監禁するとかならない限り、独占されたり嫉妬されたりは嬉しい。
だって、それだけ俺のことを好きだってことだから。
「ああ。思う存分甘やかしてやる」
「うわー……、運命の番こわっ!」
何が怖いんだ?
再度、紹介を促されてアルは渋々、俺を皆がいる方に向けてフードも取る。
「キリ・サイトーです」
「か、可愛いー!!」
「ええ。アルジェントには勿体無いぐらいだね」
「僕が番になりたかった」
「……羨ましい」
「お前ら近付くな! 寄るな! 見るな!」
俺の容姿はこの世界でもカッコイイではなく、可愛いの部類になるみたいだ。
アルに可愛いって言われるのは嬉しいけど、やはり他の人だと微妙だし、俺は男だから可愛くない!って言いたくなる。
「オレはヴォルフ・ルーパ、193歳のピチピチな狼族っす。属性は火と雷で魔法攻撃が得意っす」
赤髪茶色の犬耳の元気な少年から名乗ってくれた。アクセサリーをいくつも付けてチャラ男系なイケメンさんだ。
「私はホーク・フォルコン、鷹属。今年で300歳になる。属性は土と風と光で支援魔法を得意としてるかな」
青髪で獣耳はないが大きな羽がある真面目そうで優しそうな雰囲気の好青年なイケメンさんだ。
「僕はティグ・グレ。虎族で287歳だよぉ。属性は氷と闇で弓を得意としてるよぉ」
見た目、年齢に反してブリっ子ぽく話す彼は金髪で獣耳がある。
「マレー・ブルーイン、熊族。火・水、大剣」
ほぼ単語したか言わない彼は、1番体が大きい。そして眠そうだ。
「で? こいつは雑用係か?」
床で正座してる彼をアルが差す。兎耳のある彼の首には隷属の首輪そして鎖で繋がれてた。
「うん。火と水属性だったから役に立つと思ったっす。だけど、オレの不注意で1度逃がしてしまったっす」
ヴォルフさんが耳を垂らしてアルに報告する。首輪や鎖は、そのせいなのかな?
「仕方ないので私が管理することにしたよ」
ホークさんが笑顔で付け加えたが、その笑顔が黒い。背後に何か黒いものが見える。
「ダンジョンに入る前に殺すなよ」
「彼が逃げなければ大丈夫だよ。私から50m離れたら両足首切断の性能しか入れてないから命は大丈夫かな」
いやいやいや。
大丈夫じゃないから! 出血多量で死ぬ場合もあるから!
「兎、名前は?」
「ラ、ラピヌ・コニッリアと言います」
薄いピンク色の髪の彼はアルに名前を聞かれてガタガタ震えながら答えた。
そんなに怖がるなら逃げなきゃいいのに……。
「ラピヌ、グループの共有資金でお前を買った。お前の仕事は食事や洗濯などの俺たちの雑用だ。給与は1日銀貨3枚~7枚で、お前の値段分を俺に返せばお前は自由の身で好きな所に行ける。分かったか?」
「は、はい」
「それオレ説明済っす。それなのに逃げられたっす」
ショボーンとヴォルフは告げた。本当にショックだったようだ。
日給が高いのか安いのかは分からないけど、奴隷として売られて買われた割には待遇はいいと思う。
普通、給与なんて渡さないだろうし、身請け金を返せば自由になれるなんて破格の対応だ。
それなのに逃走したのか……。
俺が兎の立場だったら両手を上げて喜ぶ。
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