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シマジロウ温泉-8
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ところが漣人の言葉に反して雷はなかなか止もうとしない。
握りあっている手の平にもじんわりと汗が滲んできた。
「雷……やまないな」
「ですね」
このままずっと手を握っているのも何となく気まずくて、部屋にある冷蔵庫からビールとグラスを取り出した。
「飲みましよ、先輩」
「ああ」
旅行カバンに入りきらないぐらいお菓子を用意してきた上にコンビニでも買い足したのでつまみには事欠かない。
特に話という話もしないまま酒を飲み交わす。
そうしている間にも窓の外では絶え間無く雨が降り注ぎ、稲光が庭を照らし出す。
「律耶せんぱぁい……」
ビールが回ったのか、真っ直ぐ座っているのがどうしようもなく怠くなって律耶に寄り掛かる。
「お、お前酔ってるだろ」
「酔ってないれすよぉ。律耶せんぱいカッコいいれすねぇ」
酔うとポロポロと本音が出るのが漣人の癖。
突然体重を掛けられて焦る律耶に追い討ちを掛けるように漣人はスリスリと律耶の身体に擦り寄る。
「お、おい」
「せんぱいの『おい』が出た~」
「何だそれ。ほら、ちゃんと座れ」
押し返して逃げようとするその手を逆に掴んで握りしめる。
「なぁんで逃げるんですかぁ。先輩ちゅーしましょー」
お酒の効果ですっかり開放的になってしまっている漣人は律耶の両掌に指を絡めて顔を近付ける。
僅かな酔いも完全に醒めきった律耶はひたすら慌てるばかりであっという間に壁際まで追い詰められた。
「あ、おい」
後ずさった時に律耶の帯の端を踏んでしまい、結び目が解けたところを引っ張った。
顕になった律耶の腹筋は綺麗に筋が入っている。
温かい肌にぴたりと掌を貼り付けた。
「先輩あったかい」
「おい、どこ触って……」
「先輩、何で――」
「?」
漣人の台詞はひときわ大きな雷鳴に掻き消されてしまう。
「何で我慢するんですか。我慢されると調子が狂います。俺が好きなのは……」
俯いてしまった律耶の顔に手を伸ばし、上を向かせた。
「いつでもこの世が自分のものかのように振る舞う、ゴーイングマイウェイな先輩なんですよ」
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