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ハネムーン 9 (士郎side)
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玄関に続く廊下を歩き、ドアを開けた先の景色に、息を飲む。
「……オーシャンフロント。絶景だろ?」
得意気に龍之介が笑う。
腕に抱かれたままバルコニーに出ると、潮風が心地よく肌を吹き抜けてゆく。
地平線を分ける、空と海。
「泳いで、食って、オマエを抱いて……。最高だろ」
満足そうに、龍之介がつぶやく。
「……そこに、抱かれるという選択肢は入ってないのか?」
「オレは別に、どっちだってイイんだぜ?」
龍之介の空気が、誘うように甘く溶ける。
「オレがヤったら、確実に抱きつぶしちまうからなァ。夕陽の中で泳ぐことを考えりゃ、今は抱かれとくのもアリか」
まるでメインの前の前菜か何かのように言われては、さすがに面白くなかった。
「……その言葉、後で後悔させてやる」
「獣の目ェしたオマエも、悪かねェな」
どこまでも余裕な態度に、火がついた。
怒りでわずかに冷静になったせいか、身体の自由がきくようになり、腕の中なら逃れると、龍之介の手首をつかんで室内に引き入れた。
窓からすぐの場所にあるベッドに座らせると、龍之介は自ら嬉々として、靴を脱いだ。
上半身のTシャツを脱ぎ捨てながら、艶っぽさの極地の視線をくれ、ペロリと己の上唇を舐める。
海風て乱れた長めの硬い髪も、浮き上がった上腕二頭筋も、割れて引き締まったウエストも。
匂い立つような甘いフェロモンを放ち、理性を溶かしてゆく。
未だ午後の早い時間のはずなのに、絡め取られたら最後、骨の髄までしゃぶられそうな、甘く濃密な闇が辺りを支配していた。
己のハーフパンツのウエストに指を突っ込んだ龍之介が、ゆっくりと布地を引き下げながら、誘う。
「……来いよ」
「……っ」
百戦錬磨の魔性相手に、リードを取ることなど不可能だ。
それでも端から諦めるのは男の沽券に関わるとばかりに、震える指先でゆっくり己のシャツのボタンを外してゆく。
「……焦らしてくれンじゃねェか」
「待ってろ。すぐに、よくしてやる」
「ははっ、……そりゃ、楽しみだ」
龍之介は潔く、下に履いているものすべてを脱ぎ捨てると、抱えた片膝に頬杖をつき、斜めな視線を送って寄こした。
普段とは違う、どこか甘えかかるような瞳に、自分の中の男の部分がゾクリと震えた。
初めて身体を重ねたのは克己だったが、何度抱き合っても触れ合う感覚には遠かった。
片や龍之介とのそれは、まるで違う。
ドロドロに溶かされて奥で果てる感覚は鮮烈で、己のすべてが塗り替えられていくような、束の間の死を思わせるほどの衝撃を残して終わる。
終わった途端にはもう欲しくなり、満足するのはいつも、ほんの一瞬だった。
飢えて……飢えて。
そのうち本気で気が狂うのではないかと、怖くなる。
「しばらくシてねェから、まずは指で、ゆくっり……な?」
指を取られ、焦らすように、それでいて強請るように、舌先を絡めてくる。
「……っ」
まるで、鋭敏な神経そのものを舐められているかのようだ。
うっとりと美味そうに、しゃぶり尽くす。
舌で指の股をなぞられると、
「…ぅぁ……っ」
思わず声が漏れた。
慌てて、自由になる手の平で口元を覆ったが、時すでに遅し、口を離した龍之介に笑われた。
「……コレじゃ、どっちが攻めてンのか、わかンねェなァ?」
カッとして龍之介を押し倒し、強引に奥を探った。
窪みに指先のヌメりを塗り込め、恐る恐る中指を沈めていく。
「……ン…」
龍之介の目が細まり、小さな喘ぎがこぼれた。
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