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project plan.SS
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リョウヤの気が狂ったことはさきほどの熱論で確定されてしまった。
僕はふるえながらベッドにうずくまっていた。
まさかオタクとは無関連のリョウヤがあんな呪文を唱えだすなんて思いもしなかった。
やっぱり僕の美しさがリョウヤの意識を惑わし、変な趣味に目覚めさせてしまった。
女装が好きな僕でも、あんなコアなものにまで手を出す気はない。
あくまで普通の女の子の格好をするのが好きなだけで、マニアックなものにまで手を出すつもりは皆無なんだ。
どうしよう。僕は何もしていないといっても原因は僕なのだ。
責任をとらねばならないのか?いやいや、どう責任をとればこの罪を償えるんだ。
「ああああ!美しいって本気で罪だなあくそおおお!」
「何を吠えてる」
ベッドに転がっていると、突然低い声が僕を呼び掛けた。びくりっとふるえながら転がるのを中止する。
「なっなんで入ってきてんの!僕の部屋なんだけど」
当然のような顔で後ろで手を組んだリョウヤがずかずかと室内に踏み込んでくる。
もともとはリョウヤの空き部屋を借りているだけにすぎないが、それでもプライバシーを害されるのは気に食わない。
「それよりさっきはすまなかったな」
僕の意見をしれっと流し、唐突に謝罪を繰り広げられる。きょとんとリョウヤを見上げた。
「えっなんで謝るの?謝らないといけないことをしたのはわかってるのかい」
「ただ俺はお前にコスプレしてほしかっただけなんだ」
僕と会話しているようには到底思えない結論を早々にたたきつけ、背後に隠していた物体を突きつけてきた。
「してくれ」
「しないよ!なんでも素直に言ったらしてくれると思うなよ!」
「してくれないのか…!?」
「やだにきまってんだろ!んなピンクのだせぇひっらひら!」
ここから数分間僕とリョウヤの押し問答が繰り広げられる。
着ろ着ろと一歩も引かないリョウヤに冷たい態度をとってみるが、今回のリョウヤは少々本気なようでここから後退はしないぞという決意でみなぎっている。
なので僕も少々真剣に怒ってみることにした。
「…あのさぁ」
いつもより2割低めの声音を振り絞る。すると不機嫌さを感知したリョウヤの口がぴたりととまった。
「いい加減にしてくんない?着ないつってんじゃん。しつこいんだよ…うざったいなぁ」
ガムを吐き捨てるように躊躇いなく悪態が飛び出してくる。ああ、この感じ。ナンパしてきた男たちを足蹴にするための下劣なセリフ。
懐かしいな、と人をばかにすることに喜びを抱く僕なんて可愛くないな、と分かっていてもこの興奮を抑えることはしなかった。
「人の嫌がることはしてはいけませんーって習わなかったの?やめてよねほんと。本気でうざいから」
そこまで言い終えるとリョウヤの反応を見るべく顔をあげた。
見るんじゃなかったと思う。
「あっちょっと言い過ぎたかも…ごっごめんね」
てへっと可愛らしく繕うが、もう出て行った言葉は帰ってきてくれない。お通やみたいになってしまった空気で何も言わず、リョウヤは幽霊のような足取りでゆっくり部屋から出て行ってしまった。
ぱたんっとドアが閉まると外から何かが勢いよく倒れる音。その音を聞きつけた人たちが慌てて駆け寄る足音が、取り返しのつかない事が起こる風音に思えた。
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