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青い闘争心が丸見えだよ
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街中を散歩していた僕は、やけにこっちを見てくる男にガンをくれるコウスケを宥めていた。
流石にずっと部屋の中にいては気が籠るので、外に出かけさせろとリョウヤに猛抗議した結果、不満げながらも外出の許可は頂けた。
ただしリョウヤからコウスケ、それか部下を二人連れて出歩くことが条件に課されて、僕はちょっぴり文句を吐きそうになった。
だって一人でぷらぷら歩いたほうが楽しいに決まってるじゃん。
でも背に腹は代えられない。
心やさしくて寛大な僕はリョウヤの我儘を飲み込んでやった。
今日はリョウヤが忙しいのでコウスケを連れて散歩した。
そして冒頭に戻り、僕を凝視してくる男をじっと観察する。濃い青色のスーツに身をまとい、狐目の色素の薄い男だ。
僕の美貌によってきた害虫かな?と自惚れるが奴の目の奥にはそんな色情は浮かんでいない。
むしろ柔和な相貌の奥には狩りを主とする獣の明かりがともっている。
「おいユウ。帰るぞめんどくさい」
コウスケが男を睨みつけながら僕の腕をとってその場から離れようとする。
「えっなんで?まだ10分も歩いてないよ」
「いいから!あいつとは本当にかかわりにならないほうが」
「あいつ、とは僕のことなのかな?失礼だな」
僕たちの真後ろから声が聞こえて、コウスケは驚愕に満ちた顔ですごい勢いで振り返る。結構距離があった位置から睨みあっていた青いスーツの男が、真後ろにいたのだから驚くのも無理はない。
僕は驚かなかったけどね!
「久しぶりだな。リョウヤは元気かい?」
「リョウヤさんのこと気安く呼ぶんじゃね」
威嚇するコウスケに、本当にこの男が嫌いなんだなとどこかで納得した。
だがこの男は何なんだろうか。リョウヤのことを呼び捨てに呼んでいるところから憶測すると、関係者のように思えるが。
「それとそこの愛らしいお嬢さんは君の彼女かい?」
唐突に僕に話題の中心に持ってこられ、目をぱちくりしてしまった。ああ、そういえば僕女装してるんだっけか。もう女装が常なので忘れかけている。
「おいこいつに構うな」
コウスケはどうしても僕をこの狐目男に関わらせないようにしたいらしく、僕と男の間に腕を突っ込んだ。キープアウトを張られても、男は柔和な微笑みを崩さない。
「僕は青村タケルだよ。以後、お見知りおきを」
「どうも」
社交辞令のように会釈をされつられて僕も頭を下げる。顔をあげると、あの目が僕を捕えていた。舌をなめそうな笑顔に、ちょっとだけぞっとした。
「それじゃあ、またね?」
だがあっさりタケルは別れを告げ、雑踏にまぎれていった。なんだったんだろう。
「おいもういいだろ?本当にいけすかねえ狐野郎だ」
「ねえコウスケ。あいつって何者?」
「リョウヤさんが赤のカラーギャングってことを知ってるな?」
うん。あのデレデレのリョウヤ見てたら忘れそうになるけど。
「リョウヤさんと敵対してる青チームのボスだ。策士って噂だな…ああ、お前目つけられたみてぇだし、面倒くせえなぁ」
コウスケのぼやきは騒音にまぎれて消えた。
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