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悪いようにはしない
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何が何だかわからないまま連れてこられた。
あのままふらついていたら急に路地裏から数本の手が伸び、僕の口を押さえこみ黙らせてから暗闇に引きずり込む。
もちろん思考回路が追いつく間もなく、ずるずる引きずられ黒いワンボックスカーに乗せられた。
ひらひらのスカートを無意識に押さえつけ、硬いシートに丸々と「だせ!」と僕を引きずりこんだ男の声が聞こえてくる。
それを合図としたのか、車は僕の乗せたまま発車した。
あまりの手際の良さにまだ僕はリアクションができずにいる。
男たちが慣れているせいもあるのか、それともあり得ない現実が身に襲いかかってると理解したくないのかは不明だけど、とにかく何故このような悲劇が起こっているのか原因を突き止めるのは後にして。
脱出しなければならない。
「なっなにすんだ!離せくそぼけ!」
我に戻った僕は慌てて四肢を乱暴に投げ出す。
突然暴れだした僕に車内は騒然に包まれた。
「あーうるせぇな」
隣の白いタオルを頭に巻いた男が困ったような顔で僕の抵抗を片手だけで抑え込んだ。
あっという間に押さえつけられたので驚きのあまり言葉を失った。
いやひ弱い部類に入る僕だけど、こんなにあっさり負けるなんて思いもしないんですけど。
悲しみと驚愕で黙り込んだ僕は諦めた表情に見えたらしい。ふぅと息をついて足を組んだ。
「だまってりゃ悪いようにはしないからよぉ、大人しくしてくれ。な?」
「…どこ連れて行くんですか…」
膝の上で握りこぶしを作って唇を尖らす僕に、タオル頭は肩をすくめてみせる。
「知らねえ」
意味がわからん殴りたい。
タオル頭のきている赤いシャツを引きちぎりたくなるほどの怒りが込み上げてきたが、むろん力の差を見せつけられた後に、無駄な足掻きをする気力はないに決まっている。
僕に反論の余地はない。行く末に辿り着くのが地獄だろうが、僕には何もできないのだ。
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