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食欲アウトライン
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サンドウィッチを齧る僕の目の前で、リョウヤは栄養ゼリーを啜っていた。
黙々と栄養食を齧りたまに飲みこみ、食事に喜びを見いだせない濁ったまなざしで書類を眺めている。
「…あのさあ。そんなに不味そうに飯食うならもっと美味しいもんくいなよ」
見ているこっちまで食欲がなくなりそうだったので、尖った声音を振り絞った。
リョウヤは少しだけ光を灯しながら僕に意識を向けた。
「ユウが作ってくれたご飯なら破裂するまで食い続ける」
「栄養不足で餓死してしまえ」
僕の本名は祐樹だが、そう呼んでしまうと男だとばれてしまうのでユウという愛称がつけられた。気に入らない。
リョウヤはあまり食事をとらないようだ。このサンドウィッチを作ったくれたコウスケも困り顔でリョウヤの分も作っていたが、どうしても食べてくれないのだと嘆いていた。
「料理………」
名残惜しげにウイダーを加えるリョウヤからぷいっと視線をそらす。
「厭だ断る」
きっぱり言い捨てると目に見えて落ち込むリョウヤ。背後から鬱々としたオーラまで出して今にも寝込みそうだ。
だが俺は妥協しない。
「………ユウの手料理………」
ないも食い下がるようにカロリーメイトを貪り食うリョウヤを完全に無視して、俺はハムサンドをほおばり続けた。めちゃくちゃ美味しい。コウスケはいい嫁になるな。と無関係なことを考えていると、扉の開閉音が聞こえたので、首を横に向けた。
「うーす。追加の飯だ」
「うっし、コウスケの飯うまいんだよなぁ」
運ばれてきたサンドウィッチの山を喜々として崩しにかかる僕。そんな食い意地のはった僕をコウスケは呆れたまなざしで見下ろした。
「お前本当によく食うよな…」
「だって美味しいんだもーん。コウスケの飯が」
「ばっ馬鹿言うな」
料理を褒められて照れるコウスケは、顔を赤くしたがすぐ顔色が蒼くなった。
青ざめたコウスケはジェラシーの殺気を送ってくるリョウヤに気を配りながら「そういうのリョウヤさんのいるところではやめろって!」と懇願してきたが僕の「じゃあいないところならしていいの?」という切り返しに言葉を詰まらせ更にリョウヤの膨れ上がった殺意を受け止めていた。
いじるのはとても楽しい。
僕は更に美味しくなったサンドウィッチを手に取った。
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