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季節外れのサンタクロース
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「あっこれいーな」
ソファに寝転がり雑誌を眺めてた僕は一人心地に呟いた。
目ざとく、地獄耳で拾い取ったリョウヤが反応を示した。
「何がだ」
「んー?教えなーい」
間延びした声でごろりと寝がえりをうつ。真向かいのリョウヤからは表紙しか見えないような体制になる。
ちょこっとだけリョウヤの顔が見えるが、意地悪されたことに対しての怒りはないようだ。
「………雑誌か」
「見たらわかるだろ?これ結構面白いんだよねー」
「俺の目に狂いがなければ女性雑誌のようだが?」
リョウヤからはクルクルカールの少女がトレンドの服を纏って愛想笑いをしているものが見えているだろう。
理解しながら僕は雑誌を下げて、少しだけ拗ねた表情をしてみる。
「なに?いけない?」
「駄目なわけがないむしろ可愛いから雑誌なんて見ずに俺だけ見ててほしいな」
ノンブレスで腰をあげかけたリョウヤに微笑んで、再び雑誌を顔の位置にまで戻した。残念そうに腰を落とすリョウヤの気配が伝わってきた。
女装が趣味の僕にとって、トレンドのファッションを取り入れることは死活問題である。
顔が美形だからといって選ぶ服のチョイスでどうしても性別をカバーできないときがあるのだ。
代表的なのは胸。もちろん僕はペチャパイどころかまな板だ。板だ。
それを補えてかつ可愛い服をチェックするのはとても楽しい。
「いやー今時の女子高校生は派手な格好ばっかりでタイプのものがないんだよねー。足の露出ならいいんだけど」
「足の露出?」
露出に反応したリョウヤは持っていた新聞紙をテーブルに叩きつけて今度こそ身をのりだしてきた。
「するならおれだけの前にしろ。それ以外は許可しない」
「えーなんで許可制なんだよ。僕の勝手でしょ?」
「駄目だ!もしお前の神々しいまでに白い輝きを放つ美脚に、吸い寄せられる蛾がいたらどうするもりだ!俺が駆除するけどな」
「あーもう…うるさいなぁ。便所行ってくるー」
あまりの食いつきように雑誌を見る気が失せてしまい、放り出してだるく立ち上がってトイレに向かった。
帰ってくると異様な指の動きで携帯をプッシュしているリョウヤと遭遇して気持ち悪かったので、寝室に戻った。
翌日、僕のベッドの横に大きな箱が置いてあった。サンタクロースか。
びりびり破いて開けてみると、昨日ほしいほしいと呟いていた服の一式が。
リョウヤは案外侮れないかもしれない。白いフリルのトップスを掲げながらまたこの手を使ってみようと思って使うとコウスケに見つかって怒られるまで使用可能だった。
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