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ツカツカと踵を鳴らして歩み寄ってきた金塚に冴島は脛を蹴られた。躊躇いもないその行動に驚いたが、次いでそれを凌ぐ程の痛みがやってきて、冴島はその場でしゃがみ込み悶絶する羽目になった。
「おまえに気を使われるようじゃ終わりだ。俺は嬉しくもないし、感謝もしない、残るのはおまえの自己満足だけだ。…昨日の事はおまえとは関係ないし、こんなんでも、体売って向こうが仕事をくれんならラッキーだって思っただけだ。調子に乗んな、ガキが。」
悶絶している冴島のつむじに向かって言いたい事をいうと、鳴瀬に向かって「余計な事を言うな」と音はなく唇だけを動かした。それに気付かない冴島はしゃがみ込んだまま、「それ言うだけなら蹴らなくてもいいでしょ!」と涙声で訴えていた。
「早く仕事しろ。俺の分の仕事を回してるんだ。ヘマされたら困る。」
「えぇ、戻りますよ!ほんっっとに可愛くない人だな!」
「俺に可愛さを求めんな。彼女に求めろ。」
「いないっすよ!」
「………」
「そこはなんか言ってくださいよ!」
「いや…なんかすまん」
珍しく金塚が謝ったと思えば、結局冴島としては馬鹿にされたようなもので。「じゃあ金塚さんはいるんすか!」と勢いに任せて喚き散らすと「いたらあんな事しねぇよ、流石に」と言われ、また冴島が墓穴を掘る形となった。
「二人ともその辺にしとけ。」
鳴瀬が再び仲裁に入ると金塚は「おまえのせいでもあるんだぞ」と言いながら、営業フロアに戻って行った。
「鳴瀬さんもよくあの人の事庇う気になれますよね。俺には無理ですよ。昨日の事があったって今みたいな態度取られたんじゃ素直に謝れもしない。」
「あれはアイツなりの気遣いってやつだよ。おまえが気にする事じゃないって言いたかっただけだろ?」
「それだけ言うためにあの人、どんだけ捻じ曲がってんですか。」
それも過去の事があって性格も歪んでしまったとでも言うのか。そんな事もあるかも知れないが、だからといって脛を蹴る必要性は感じない。
冴島は持て余した気持ちの消化方法も分からず、ため息を吐き「仕事します…」と呟いて金塚と同じく営業フロアに戻った。
二人を見送る形となった鳴瀬は、この二人の相性の悪さに先が思いやられるな…と心中でぼやき、やはりため息を漏らしたのだった。
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