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金塚を寝かせて冴島もソファーに寝転ぶと、思っていたより疲れていたのか酔っていたのか、すぐに睡魔が訪れた。
形態のアラームをセットして眠りについて、それからどれくらいが経ったのか、ふっと目を覚ました。
まだ部屋は暗く、そんなに時間は経っていないようだった。喉に乾きを憶えて水を貰おうとキッチンに向かう。冷えた水を煽って、体に染み渡ると酔いも一緒に冷めていくようだ。
コップをさっと洗い流してソファーに戻る時、不意に何かを聞いた気がした。
「……?」
どこから聞こえたのか探ぐるように部屋を見渡していると、またその音は聞こえて来た。その音に引き寄せられるように、冴島はリビングを出て金塚の眠る寝室に向かう。扉の向こうから、明らかに声がする。
「電話か?」と思ったが、こんな時間に、しかもあれだけ泥酔しててそれはないだろう。
気になってドアノブに手を掛けた時、曖昧だったその声が何か分かった。
その瞬間、冴島はドアノブを勢いよく引いた。
「金塚さん!!」
ベッドに横たわる金塚は、まだ眠りの世界にいるはずなのに、胸を掻き抱いて悲鳴を上げていた。
「嫌だ…離せ…嫌だ…嫌だ!」
「金塚さん!金塚さん!」
苦しみの中にいる金塚を起こそうと、近付いてその肩に触れる。名前を呼びながら強く何度も揺さぶって、金塚を起こす。
「離せ!!」
揺さぶっていた手を強く振り払われても、冴島は金塚の体を揺さぶり起こした。
「金塚さん!大丈夫ですから!何もないから!大丈夫だから!」
大丈夫、というその言葉に導かれる様にして、金塚はようやく目を覚ました。
ぼんやりと開かれた目が、空中を彷徨った後に冴島を捉えた。
「…さえ、じま?」
「はい…」
「あれ…なんだっけ…俺…」
「いいです、思い出さなくて。」
「…はぁ…いや…うん、分かってる…魘されてたんだろ」
「…よく、あるんですか?」
冴島の問いに金塚は覇気もなく笑った。それは肯定という意味だと冴島にも分かる。そしてそれがどうしてかも、言わなくても分かる。言うよりも早く、その原因を見たのだから。
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