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ジェラシー、キャンユーシー③
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「――なあ池田、」
「オレ先戻るわ」
宰次の言葉を遮り、池田は立ち上がった。視線で追ってくる宰次を「ウンコして帰ろー」と独り言で牽制しながら保健室を出る。……頭も心もモヤモヤで、今これ以上踏み込まれたらパンクしそうだった。
***
結局の所、オレは宰次をどう思っているんだろう?
池田はノロノロと流れていく廊下の板目を眺めた。
宰次はダチだ。最初はアブネー奴かと思ったしクソ偉そうでムカついたりもしたけど、意外と良い奴だったな。っつーか一周回ってバカだろってくらいクソ真面目で、まあ見てて面白い奴。全然、嫌いじゃなかった。
でも体育祭の張り切り具合はドン引きっつーか、生理的にムリみたいな。絆や頑張りを押し付ける感じ?マジで反吐が出そう。キラッキラ全力で青春してます!絶対勝つぞー!みたいなの。小学校でそう言う奴らに掌を返されたオレからしてみりゃアレルギー出まくりで。
正直全然関係ない宰次にオレの古傷重ねてイライラぶつけんのもどうなんかなー、なんて少し思うけど……
そう思うとアイツ全然怒らねーんだよな……。暴力沙汰はもう起こさないって約束してるからもあるンだろうけど、あんまりイイ子ちゃんすぎてそれも余計に腹立つっつーか。
よくわかんねぇけど、色々ズリぃよなあってムカついてる。あいつの心も一回くらい折れれば良いのに、なんて思ってる。言わねぇけど。
……
「キャッ!」
「うおっ!?」
考えに耽っていた池田は、曲がり角から飛び出してきた女子にぶつかった。
「あぶねーな……って平岡?どうした」
「……ッ、何でもない」
女子は逃げるように教室へ走っていく。
「何でもないっつー事ぁねえだろ、どう見ても……」
彼女が走って来た方をヒョコリと覗く。と、見覚えのあるヤンキー達の後ろ姿が見えて思わず頭を引っ込めた。
「芋瀬! ……と、平岡……?」
******
「ン……、」
「淳!大丈夫か?!どこか痛まないか?」
「……」
目を覚ました淳はキョトンとした表情で周囲を見渡した。
不安げに佇む宰次を見てから、そっと布団をめくり、大げさに残念そうな表情を浮かべる。
「……穿いてた」
「逆に何故穿いてないと思った。……待て、言うな、聞きたくない」
呆れ顔の宰次を見て、淳はへにゃんと嬉しそうに笑う。笑顔を向けられた宰次は、待ち遠しかったものに出会えたような安堵を覚えていた。
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