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【第一部】宰次、厨ニ病の春
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ああ、くだらない
どいつもこいつも馬鹿ばっかりだ
……あの頃、俺は本気でそんな恥ずかしい事ばかりを考えていた。
これは、今思い出してもおかしな声が出てしまうほどの俺の黒歴史。
けれどこの一件が無ければ、俺はあいつに出会う事も無かったのかも知れない。
******
「やれやれ、とんだ肩すかしだ」
俺の言葉にシンと教室が静まり返る。入学式から数日後の事だった。
「ようやく小学校などという低俗な場所から抜け出す事が出来たと思ったら……。中学も大して変わらないな。何処を見ても馴れあい、馴れあい。このクラスはレベルの低いガキ共ばかりだ」
「な、なんだとこのチビ野郎!」
身の程知らずなジャガイモが顔を真っ赤にして掴みかかってきた。
突然俺の前に立ち『仲間に入れてやろうか』などとほざいてきた、お山の大将気取りのクソ野郎だ。こういうタイプが一番苛立つ。誰がチビだ、俺を見下ろすな。
「触れるな、馬鹿がうつる」
ジャガイモの腕をねじり上げ、ふり払う。バランスを崩したジャガイモはそのまま椅子を巻き込みながら倒れていった。
「ちょっと!宰次くん、ひどいじゃない!宰次くんが入学式から誰とも喋れてないから、って芋瀬くん気を遣って誘ってくれてるのよ!?」
女子どもがキンキンと耳障りな声を放つ。鬱陶しいったらない。
「フン、ジャガイモ野郎だとは思っていたが……名前まで本当に芋だとはな。傑作だ」
そうせせら笑っていると、背後で芋瀬がのそりと立ち上がりこちらへ突進してきた。
「誰がジャガイモだコラアァ!!」
パシッ
グイ
ダァァァァン……!
俺は殴りかかってきた芋瀬をいなし、そのまま床へ叩きつけた。
教室が大きくざわめき、やかましい女子の悲鳴が上がった。
「俺はこんなヌルいクラスの馴れあいになど興味はない。いいか、気安く俺に話しかけるな。特に居丈高な態度を取る奴、喧嘩を売るようなマネをする奴はこうなる。覚えておけ!」
「最ッッ低!!」
「何あれキモッ!」
「先生、誰か先生呼んで!!」
「フン、くだらん」
ガキどもの喧騒から脱け出すように、俺は教室を後にした。
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