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過去形
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俺の好きな人は高校卒業後、外国に留学するらしい。
その好きな人というのは、毎日毎日俺が飽きずにからかっている相手でもあった。
まあ、そのからかいも子供みたいなもので、「チビ」とか「マザコン」とか「弱虫」とか。
それを言う度に、顔を真っ赤にして怒るソイツが本当にただただ愛おしかった。
ああ、でも、そんなからかいも──
明日で最後になる。
運良く卒業して地元に就職する俺と、頑張って努力して外国に行くアイツ。
そんな凄い奴が、俺なんかと釣り合うわけがなかった。
そもそも、…俺達は同性というものだし。アイツは俺なんかを、「恋愛対象」として見たことなど無いだろう。
その方が、諦めもつきやすくていいんだけど。
って、諦められてない癖によく言うよ。
……明日で、最後。
「実感なんて、…ある訳ねぇよなあ」
ベットに転がり込んで一時間ちょっと経った時、俺はポツリと呟いた。
「……アイツから全く連絡こねぇし。明日で最後だっていうのに」
当たり前か。アイツにとっての俺の存在はそんなものだ。
「……バカ野郎」
そう呟いて、俺はいつもより悲しい眠りについた。
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