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ハンバーグを作ろう-2
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「どうしました?」
ホームセンターから、連絡通路を通ってショッピングモールに移動する道すがら、何となく視線のようなものを感じて振り向いた。
背後を歩く人たちを片っ端から見てみたけど知った顔や怪しい人は誰も居なかった。
何だろう?
その後も歩きながらチラチラと振り向くけど怪しい気配はゼロ。
気の……せいかな。
「少し休みましょうか」
テナントで入っている花屋さんに小ぢんまりとしたカフェが新しくオープンしたらしく、前を通るとお店のお姉さんがチラシをくれた。
『カフェ利用の方に粗品プレゼント』のクーポンが付いてて、ちょっといいなと思った。
「ここにしてみますか?」
「うん」
シフォンケーキと紅茶のセットを二人ぶん注文して来るのを待っていると、晩里の視線が花のショーケースに引き寄せられていった。
「何見てるの?」
晩里の視線の先を追い掛けると顔ぐらいあるんじゃないかという大きな花が売られている。
「あれ何の花?」
「牡丹ですよ」
「あれ欲しいの?」
「いえ」
ケーキが運ばれて来てからも気づけば晩里の視線は牡丹の花に向いていた。
そんなに欲しいのかな?
晩里に花を愛でる趣味があるとは聞いたことなかったけど。
男ばっかりの殺風景な暮らしだから、たまには寮の玄関に花を飾って潤いを持たせてもいいかもしれない。
さっきボールペンを買って貰って嬉しかった。
今度は俺がお返しをする番だ。
晩里がカフェのレジで会計をしている間に、牡丹の花を1輪包んで貰った。
「あげる」
「これ、どうしたのですか?」
「晩里がさっき見てたから。寮の玄関に飾ろうよ」
「ありがとうございます」
にっこりと笑顔で受け取ってくれたけど、その笑顔は何だか遠く感じた。
作られた笑顔っていうのとも違って、心底喜んでくれてはいるんだけど心そのものがどっか別の次元にいってしまっているような感じ。
何だろう?
今日の晩里はやっぱりおかしい。
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