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山眠る ~プレ1
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「知らね。俺、手で触ってないから指紋も付いてないし、誰かに刺さってもこいつらのせいじゃね? 大体、学校にナイフ持ってくること自体頭おかしいだろ」
「そら、そうやけど」
「名前呼んだのおまえ?」
「あ…聞こえたん?」
「…ふーん」
遊命は可児の横を通り過ぎ、下へ降りていこうとした。
「放っとくん?」
「助けてどうする。そいつら新入生じゃないし、入学式に関係ねぇもん」
「せやなぁ」
可児も少しだけ後ろ髪を引かれながら、遊命の後に続いた。
「何で関西弁?」
遊命が可児を指差して笑う。
「…あぁ、俺、大阪から来てんねん」
「ふーん、俺も大阪よく行くよ。師匠がいるからさ」
「…あぁ、鶴橋? やっぱテコンドーやったんや、あれ」
でなければ、立ってる人間の頭に、蹴りを食らわすなんてできない。
「うん」
可児は、意外な共通点に距離が縮まるのを感じた。同じクラスだと可児が告げると、遊命は嬉しそうに微笑んだ。
教室に戻ると、もぬけの殻で、二人は慌てて入学式に参加した。
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