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山眠る ~プレ2
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「んー……目が冴えた」
「あ、そう。じゃ、飯食いに行く?」
綾哉が経営するお茶屋には、和カフェが併設されていて、朝から茶粥に惣菜がついてくる。
ほんのり湯気の立つ朝食を想像した藍は、急に小腹が空くのを感じた。
初めて綾哉の店に入った時もそうだった。
店先に置かれた温かそうな朝食の写真に魅せられて、ふらふらと入ってしまった。
藍は給仕をしていた綾哉を覚えていなかったが、綾哉は若い男の子が一人で、茶粥を食べに来るなんて珍しいと覚えていた。
その後、ゲイ専用バーで再会した時は、共に驚いた。
お互いに連れがいたが、綾哉はただの友人と飲みに来ていただけで、藍の相手は「こっきりさん」だった。
「……そうしよっかな」
「じゃ、仕度して」
「……ん」
綾哉は慣れた手つきでネクタイ締め、スーツに袖を通した。
いつの間にか綾哉の服が置きっぱなしになっていることに、藍は不思議に思った。ここまで他人を受け入れたことがなかったからだ。
妙な出会いを思い出し、ふっと息を吐いた。
「藍のピアノはさ、使ってるって感じだよな。うちにもあるけど、知らないうちに荷物置き場になってるからなぁ」
綾哉がピアノを触りながら言った。
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