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春の章一 風光る
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「そうだよ。藤沢藍。ラブじゃなくて、藍色の藍ね」
「あい色…」
「そ、藍色。藍のピアノは何かやらしい」
「どういうことだよ」
「弾いてる奴の個性が出てんじゃない?」
「俺はエロいのか?」
「エロいよね?」
「え? さぁ、どうだろ…」
綾哉の問いかけに、ピンとこない遊命は言葉を濁した。
「遊命は、口元のホクロが色っぽいよね」
藍は曲の途中で指を止め、遊命に向き直った。ピアノから離れた藍は、真っ直ぐ遊命を見つめたまま歩み寄った。
「俺? ホクロなんて、ただの点じゃん」
「そうたけど、どこにあるかが重要でしょ? 口元にあるのは、汚したくなるよね」
藍が微笑みながら、指で遊命のホクロをなぞった。
「…汚す?」
「そう」
後ろにいた綾哉が遊命の両肩を支え、そのまま下へと滑らせて、手首を掴んだ。
「…あやや?」
「大丈夫。怖くないから」
藍が、遊命の唇に触れながら言った。
「怖いって言うか、藍ちゃん、顔近い」
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